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■ あねのねちゃん 梶尾真治
あねのねちゃんあねのねちゃん
梶尾 真治

新潮社 2007-12

他の人には見えないけど、自分には見える。玲香にもそんな経験がある。孤独で寂しかった幼い日、遊び相手だった「あねのねちゃん」。今はそれが想像の産物だと分かるが、当時は唯一の友達だった。ところが、失恋を切っ掛けに、OLになった玲香の前に、再び「あねのねちゃん」が現れた。ファンタジックに展開するあなたの友達の物語。
ファンタジーだけどホラーでもある、でも心温まる癒しの物語。ホラーっぽい部分が意外と大きい部分を占めているのが、エンターテイメント性を高めていると思いました。そうじゃなかったら、こういう話って、あいたたって感じになりがちな気がします。心温まる、というより、暗く重く、になっちゃいますよね。この本は、いい感じのバランスで、好きでした。

これ、映画化希望です!マニアックな監督さんに、ぶっとんだ演出で、映像化してもらいたいなあ。
| か行(梶尾真治) | 11:43 | - | - |
▲ ただいま 不知火京介
ただいまただいま
不知火京介

光文社 2008-09-20

「記憶」をテーマにつづられた短編集。少しファンタジーが入っていたりする、いわゆる奇妙な味系なのかな。心温まる作品集でした。

個人的には、表題作の「ただいま」が一番好きでした。自分が、人の記憶に残れない人間であるというのは、どんなにか辛い事だろうと、現実的に考えると切ないのですが、そんな中で、何度も何度も同じ人と恋に落ちるというのはね、うん、ロマンってやつの定型だと思いました。「ライオンハート」恩田陸 を思い出しました。
| さ行(その他の作家) | 11:41 | - | - |
■ 名前探しの放課後 辻村深月
名前探しの放課後(上)名前探しの放課後(上)
辻村 深月

講談社 2007-12-21
名前探しの放課後(下)名前探しの放課後(下)
辻村 深月

講談社 2007-12-21

「今から、俺たちの学年の生徒が一人、死ぬ。―自殺、するんだ」「誰が、自殺なんて」「それが―きちんと覚えてないんだ。自殺の詳細」不可思議なタイムスリップで三ヵ月先から戻された依田いつかは、これから起こる“誰か”の自殺を止めるため、同級生の坂崎あすならと“放課後の名前探し”をはじめる―青春ミステリの金字塔。
うん、面白かったです。なんというか、主人公の思い込みの強さと青さ溢れる辻村節全開で、前半は読みづらい部分もありましたが、最終的には「なんだよ〜いいお話じゃんかよ〜」と感動させてくれました。スッキリ爽快です。そして、さすが辻村さんで、ラストにはどんでん返しもばっちり決まり、伏線もしっかり生かされていて、「やられた〜」という気分になりました。他の作品とのリンクも楽しませてくれましたね。

辻村小説は、最初の2作がかなり好きだったのに、その後…って感じだったんですが、これは良かったなあ。辻村さんはやっぱり、ミステリーという枠の中で小説を書いてくれたほうが面白いです。やっぱりこの作家さんの将来には、期待しちゃうなあ。
| た行(辻村深月) | 11:37 | - | - |
穂足のチカラ 梶尾真治
穂足(ほたる)のチカラ穂足(ほたる)のチカラ
梶尾 真治

新潮社 2008-09

えーと。かなり分量のある作品で、長さだけみると大作!力作!って感じだったんですけど…。

あの、これは軽いノリでさらっと流す本ですよね?まじめに読むと突っ込みどころがありすぎて疲れます(笑)。そんなバカなって。そんなわけで、私は感動したり、泣いたりはできなかったんですけど、これは好みの問題だと思います。こういう本を好きな人は、大好きだと思う。

梶尾さんは、はまる時はめっちゃはまるんだけど、はずれるとはずれるなあ。あくまでも個人的な好みの問題としてですが。
| か行(梶尾真治) | 11:35 | - | - |
■ Run!Run!Run!  桂望実
RUN!RUN!RUN!RUN!RUN!RUN!
桂 望実

文藝春秋 2006-11

岡崎優は、子供の頃から父親に長距離ランナーとしての訓練を受けてきました。優の父親は自分がかなえられなかったオリンピック出場という夢を優に託して、ずっと練習に付き添っています。優はその期待に応えて、みごとに素質を開花させ、中学・高校では走るたびに記録を塗り替え、タイトルをとり、「不敗神話」を持つと言われるまでになりました。

そんな優は、より整った環境で練習すべく、S大学陸上部に入部します。そこでもひたすらストイックに練習に打ち込み、仲間を作ろうとはしません。陸上部の目標である箱根駅伝を、通過点、と言い切ってしまったことで、ますます孤立しています。そんな中で、突然、兄の死という悲劇が家族を襲います。その時に、母親が漏らした一言。その一言が、優に自分の出生に関してとある疑問を抱かせます。。。。

傲慢で鼻もちならない青年だった主人公が、自分と家族について悩み苦しむことで、少しずつ人間らしく成長していくストーリー。優がいだく「とある疑問」が、やや突飛で、興醒めしてしまった事を除けば、いい本だったと思います。陸上部の先生や、優の友人である岩本などは、優とは対照的に素敵なキャラクターで、いい言葉もいっぱいでした。

「風が強く吹いている」や「一瞬の風になれ」を先に読んでしまっていたので…。比べられてしまう時期に出版されたのはこの作品にとっては不運だったかなあと思います。これを最初に読んでいたら、全然違う評価になっていたかも。
| か行(桂望実) | 11:31 | - | - |
▲ 摂氏零度の少女 新堂冬樹
摂氏零度の少女摂氏零度の少女
新堂 冬樹

幻冬舎 2007-11

幼いときに目の当たりにした愛犬の安楽死と、初恋の男の子の裏切り。
二つのできごとが、涼子の心に人間の傲慢さを刻みつけ、彼女を少しずつ狂わせていく。
母親の期待通り、医者になるべく名門進学校に通い、
教師から一流大学医学部合格は確実と太鼓判を押される学業優秀な少女に成長した涼子は、
温めてきた計画を実行に移す。
それは、母親に劇薬・タリウムを盛るという実験だった。
致死量を一度に飲ませるのではなく、食事や飲み物に少しずつ混入させ、観察する。
そして、初恋の男の子の名前で、その経過を克明にブログにつづっていくのだが…。

女子高生の狂気を描きながら、正義、両親、倫理、道徳といった既成概念の意味を問いかける。

うーん、うーん、うーん。こんな内容の小説が、読んでいて楽しくないのは当たり前なんだけど、なんだろう、楽しくないだけでなく、恐くもないし、興味深くもないし、既成概念の意味を問いかけられたような気もしなかった…。あらゆる描写がグロテスクなまでに丁寧にされているのに、なんだかあっさりと終わってしまった小説という感じ。

確かに狂気ではあると思うのですが、母親を殺す動機が、彼女なりの愛情であり、死は解放であり救いだから、というのが、小説の世界ではありがちな気がして拍子抜けしました。実際にあった事件から着想を得た小説だそうですが、その事件に対する新堂さんなりの解釈を小説にしたってことなんでしょうね。

これは、かなり好みがわかれる本でしょうね。まあ、新堂小説はどれもそうですが。
| さ行(新堂冬樹) | 11:20 | - | - |
■ Rのつく月には気をつけよう 石持浅海
Rのつく月には気をつけようRのつく月には気をつけよう
石持 浅海

祥伝社 2007-09

長江高明、熊井渚、湯浅夏美の3人は、大学時代からの飲み友達。卒業後の今も、しょっちゅう長江の家においしいつまみと酒を持ち寄って飲んでいます。いつも同じメンバーではマンネリ化するということで、誰かがゲストを連れてくるのが定番です。毎回そのゲストがちょっとした謎を持ち込み、長江を中心に謎解きをする、という短編集。

好きな本でした。とにかく、出てくる食べ物が美味しそうで、読んでいて幸せ!おしゃれなお店を舞台にした、おしゃれな料理が登場する、おしゃれな小説はたくさんありますが、この本はそうではありません。庶民が気軽に食べられる味。気の置けない友人と、気取らずに飲むときにぴったりのつまみ。実際に食べたら、そこまで美味しいものではないことは、私も知っているのですが、この本を読んでいるときは、やけに美味しそうに思えました。深夜にチキンラーメンを砕いて食べたくなってしまった。

出来すぎなラストに読後感も最高。古くからの自分の友人と、恋人、あるいは夫や妻が、気が合って自然に仲良くなってくれるって、いいよね。それに、気心の知れた友人と結婚するっていうのも、きっと幸せなんだろうな。恋人や夫婦は、男と女の関係だけではなく、親友でもある関係になっていかなくちゃつまらないし、続かないものね。

基本的には安楽椅子探偵もので、謎解きには無理のあるものも多かったので、ミステリーとしては失礼ながらそこそこの出来といった感じ。でも、全体として満足しました。

・Rのつく月には気をつけよう
・夢のかけら 麺のかけら
・火傷をしないように
・のんびりと時間をかけて
・身体によくても、ほどほどに
・悪魔のキス
・煙は美人の方へ
| あ行(石持浅海) | 10:08 | - | - |
■ GOTH 「夜の章」「僕の章」
GOTH 夜の章 (角川文庫)GOTH 夜の章 (角川文庫)
乙一

角川書店 2005-06-25

GOTH 僕の章 (角川文庫)GOTH 僕の章 (角川文庫)
乙一

角川書店 2005-06-25
主人公の「僕」は悲惨でやるせない凶悪な事件、とりわけ凄惨な殺人事件に人一倍の興味を抱いている青年。クラスメイトと一切の交流がない少女「森野夜」と唯一コミュニケートを行える存在。最近の彼らの話題はもっぱら隣の県で起きた女子高生の殺人事件に集中していた。
ある日「夜」が拾ってきた手帳。それにはその事件の犯人らしき人物の手記が残されていて、、、。

事件に巻き込まれることで「僕」と「夜」の抱えた闇が徐々に明らかになっていく短編集。
ネタバレ!

第三回本格ミステリ大賞受賞作。再読。

私が初めてこの作品を読んだときは、本格ミステリ大賞受賞前で、2分冊にはなっていない、ライトノベルの「GOTH〜リストカット事件」のほうでした。

今回、この作品についての感想を語るには、まず、僕も夜も、彼らの街の異常犯罪者たちも、この作品の世界の中に現実に存在し、事件も現実に起きたのだ、ということを前提として始めなければならないと思っています。もう現実に起こってしまった出来事なんだから、そこに「ありえない!」「そんなやついない!」などとつっこんでも無駄なんですよね。私は初読のときは、さんざんそれをやってしまったので、失敗したんですが…。

だから、僕や異常犯罪者たちが、このような人格に生まれてしまったことの理由が描かれないことを不満に思ってはいけないし、彼らの心理分析をすることに意味はないし、著者の意図を探ることもこの小説に関しては不要だったのだな、と思いました。ただ、彼らの異様な世界を感じればよいんですよね。そんな部分を理解できなくても、十分に良くできた(構成のしっかりした)、面白い小説なのですから。

今回私は、この小説世界に、実際に、僕と夜が生活しているのだと感じながら読みました。そうしたら、クライマックスシーンが自分の記憶にある以上に切なく、絶望的な余韻のあるものに思えました。あ、クライマックスとは、「僕の章」のラストシーン、2人の別れのシーンです。

夜にとっては、たった1人、自分の真の姿を知ってくれていて、自分と同じ生き方をしているように見えた人が、実は逆の人間であったということから受けたショック。僕にとっては、そんなことは分かっていても、それでも執着していた夜という少女からの拒絶。別離のシーンは絶望的で、辛かったです。

僕の夜への執着は、彼女からの拒絶程度で消えるものではないでしょう。同じ街に住んでいれば、何度もそうしたいと思ってきたように、僕はいつか夜を殺すかもしれない。どうやら自殺願望があるらしい夜も、いつか、それを望むようになるのかもしれない。夜を殺さなくても、僕は夜に似た他の誰かを殺すかもしれない。彼らのその後を想像しても、暗澹たる気分になるばかりですが、でも、その物語を読んでみたいと思う自分がいます。

さらにダークな続編希望…かもしれない。
なぜ自分は、このような穢れた魂を持って生れついてしまったのだろう。なぜ、ほかの人と同じではないのだろう。心の中に、そのことへの疑問と悲しみがあふれ出す。

人を殺して喜びを得るようなことをせず、自分も普通の人のように生きたかった。人間を生き埋めにするという妄想に取りつかれず、夜に一人で穴を掘って心を落ち着けることもせず、ただそっとだれにも迷惑をかけないよう生きたかった。

消して多くを望まない。どんなにささやかでもいい。だが自分は、上司が子供の写真を眺めるように、同僚が真新しいシャツで職場へ現れるように、普通の人が送るような、当たり前の人生をいつも夢見ていた。自分にそれが与えられていたなら、どんなによかっただろう。
このとある変質的殺人者の独白は、命を奪った被害者への視点が欠けているので、ただの身勝手な自己憐憫で同情の余地無しなのですが…、それでもちょっと、涙線にきました。共感できてしまう自分がいました。
| あ行(乙一) | 10:03 | - | - |
● サクリファイス 近藤史恵
サクリファイスサクリファイス
近藤 史恵

新潮社 2007-08

ネタバレ!

本屋大賞2位だったのね、と知って、図書館予約をかけたのはずいぶん前の事。いまごろ来たので読みました。うん、期待どおりに、面白かったです。

自転車ロードレース界を舞台にしたミステリー。その世界を全然知らなかったので、それだけでも、いろいろと興味深いものがありました。

自転車ロードレースは、スピードが風の抵抗に大きく左右されるため、集団で走るときは先頭を行くものが圧倒的に不利です。だから、先頭を紳士的に交替しながら、レースを進めることになっています。その、個人競技でもあり、団体競技でもあるような特性ゆえに、チームの選手は優勝を目指す「エース」とエースを優勝させるために走る「アシスト」に、残酷なまでにはっきり分かれています。

主人公は山に強いクライマーのアシスト白石誓。元陸上選手だった彼は、自分が勝つために走るということに執着できず、勝つことを期待されるプレッシャーに耐えられず、自転車競技に転向してきました。彼はアシストという立場を自分で望、自分の役割に誇りを持っています。自分はたとえゴールすることすらできない捨て駒になっても、「エース」を勝たせるために、風除けとなったり、レース展開を左右することに喜びを感じているのです。

しかし、誓のような人は少数派でしょう。競技を始めたころはほとんどの選手がエースを目指していたのでしょうし、エースを目指していまだ奮闘中のアシスト選手もいるし、自分の限界を知ってアシストであることに甘んじている選手もいる。そんな面々がチームメートとして過酷なレースを戦っていかなければならない。精神的に辛そうですね。それぞれに屈折しますよね。この作品の中にも、様々な選手が登場し、それぞれに葛藤しています。

そんな選手たちすべての気持ちを背負って、ゴールにトップで飛び込まなければならない。それがエースの宿命。誓のチームのエースは、プライド高きベテラン、石尾です。ある時、誓がひょんなことから良い成績を出し、大会で注目されたところ、その石尾に関する悪い噂が、次々に耳に入ってきました。以前に石尾は、自分より才能があると目されていた新人を、潰した過去があるというのです。「気をつけろ」と忠告された誓は、最初は信じませんが、次第に彼を警戒するようになります。

そして、とうとう、惨事が起こります。

後半に入ってからなんだかドロドロしてきてしまって、ちょっと読みにくかったのですが、すべての謎が解けてみたら、すごくすっきり!誓もだけど、とにかく石尾がカッコよくて!おかげで読後感がすごく爽やかでした。なるほど、それで、そういう意味でサクリファイス(=犠牲、生贄)ね。

わたし、この本、好きです!

そんなわけで、全体としてはとても面白かったのですが、ちょっと引っかかった2点を、こっそりメモっておきます。

・誓の過去についてですが、このようなメンタリティの持ち主であった彼が、陸上の世界で、いくら才能があったとしても、それなりに輝かしい結果を残せたなんて嘘みたい。

・誓の恋愛がらみの話は全体的に蛇足。彼女が魅力的に描けていなかったこともマイナスポイントだし、双方のお互いへの気持ちが、過去においても、現在においても浅すぎて、いらないエピソードのように感じられた。この小説に、恋愛話でスパイスを利かせる必要はなかったと思う。
| か行(近藤史恵) | 09:56 | - | - |
親指の恋人 石田衣良
親指の恋人親指の恋人石田 衣良

小学館 2008-01-29
許されぬ愛にもがく二人…。究極の恋愛小説
大学三年生の江崎澄雄は、携帯メールの出会い系サイトでメールのやり取りをかさねたジュリアと恋に落ちる。
しかし、二人の経済的な環境は、極端なまでに違っていた。ある日、ジュリアの父親が脳出血で倒れてしまう。
いまどきっぽいものを盛り込んでおけば、いまどきの子に受けるんじゃない?的な臭いがして、安易すぎる〜と思っちゃいました。もしかして元は携帯小説ですか?

それにしても、せっかく恋をしたのなら、そんな結末に向かわなくてもいいのに。どちらかにほんの少し、強さや逞しさやしたたかさがあれば、どんな未来だってあったはずなのに。これが、若さってものなんでしょうか。

二十歳なんて昔すぎてもう忘れちゃったからわかんないわ〜(笑)。とにかく、大人にオススメできる小説ではありませんでした。もちろん、子供には余計にすすめられないけど…。
| あ行(石田衣良) | 21:20 | - | - |
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