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● モップの精は深夜に現れる 近藤史恵
4408504483モップの精は深夜に現れる
近藤 史恵
実業之日本社 2005-02

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「天使はモップを持って」の続編。「天使は〜」のネタバレになるので理由は書かないが、まさか、続編が出ているとはおもわなかった!

主人公は、派遣の清掃作業員・キリコ。深夜や早朝に清掃の仕事をしつつ、オフィスで起きる事件を、抜群の観察力で解決します。推理短編集です。

特筆すべきは、なんと言っても、キャラクター。キリコちゃん、前作よりもさらに大人になっちゃいました。っていうか、こんなに大人の考え方ができる人、定年退職者の中にも何人いるんだろう?って感じ。こんな人いないよね。

性格は完璧。格好はギャル。で、名探偵。私は、欠点だらけで、どこか壊れちゃってるようなキャラが好きなので、キリコちゃんが好きかと言われると、そうでもないんだけど、キリコちゃんの発言には、学ぶべき事が多いです。ストーリーも面白いし、さらなる続編を期待します。
| か行(近藤史恵) | 07:23 | - | - |
● 賢者はベンチで思索する 近藤史恵
416323960X賢者はベンチで思索する
近藤 史恵
文藝春秋 2005-05-26

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連作推理短編集・・・なのですが、これは、推理小説としてよりも、青春小説としてよかったと思います。

主人公の久里子は、服飾の専門学校を出たものの、服飾デザイナーになるという夢をかなえるのは簡単ではなく、現在フリーター。バイト先のファミレスで「賢者」国枝さんに出会います。国枝さんは、毎日コーヒー1杯で3時間ねばる、ちょっと呆けたおじいさん。久里子は彼と親しくなり、彼がいくつかの事件を解決する様子を見る事になります。

近藤史恵さんという作家さんは、ドロドロの人間関係も描けるし、人の心の美しい部分も醜い部分もきっちり描けるし、傷ついた人の心もちゃんと描ける。「人間を描く」ということのきちんとできる作家さんだと私は思っています。この本は、近藤さんの本にしては、あっさり系だと思いました。でも、いまどきの、等身大の人間を、温かい目で、そのまま描いたんだと思います。

暗い主人公ではないけれど、心の中には本人なりの悩みや不満がちゃんとあって。浪人中の弟の心配をしたり、親への不満をぐっとこらえたり、夢が破れたことよりも将来への不安でいっぱいだったり、それよりもさらにバイト先のかっこいい男の子の方が気になったり。実に等身大です。

最終章で明かされる、探偵役・国枝さんにまつわる物語は、あっさりと温かく語られはしますが、久里子の恵まれた生活に比べると、実に暗くて、重い。1冊本が作れそうなネタです。それをあっさり流して、久里子の成長物語の一部にしてしまったあたりが、すごいなあ、うまいなあ、やるなあ・・・と、感服しました。しめるところをギュッとしめた感じ。さすがです。

謎だらけの、国枝さんというおじいさん探偵の正体に関しては、ちょっと意表をつかれましたが、推理小説としては平凡。でも、かなりオススメ。爽やかないい本です。
| か行(近藤史恵) | 00:20 | - | - |
■ アンハッピードッグズ 近藤史恵
4120029417アンハッピードッグズ
近藤 史恵
中央公論新社 1999-10

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ネタばれあり。

舞台はパリ。作家の真緒はパリで暮らし始めて3ヶ月。ホテルで働く同棲中の恋人の岳が、新婚旅行でパリに来てスリにあったカップルを拾ってくる所から、2人の男と2人の女の物語がはじまります。

凱旋門、ベルサイユ宮殿、オルセー美術館、日本人観光客であふれるブランドショップ、クロワッサン、ワイン、羊の脳。パリを描写するディティールが全編にちりばめられていて、旅行に行きたくなりました。

近藤史恵氏を、ミステリーの作家さんとして好きだったので、恋愛小説の苦手な私は「著者初の恋愛小説!」と宣伝されたこの本を、わざと読みませんでした。読まないままだいぶたって、今日たまたま手にとって見たら、意外や意外。私、この本好きかもしれません。

真緒という主人公が、私には、個人的にとても感情移入しやすい人物だったからだと思います。真緒が言われるセリフの1つ1つが、私も似たようなこと言われたことある・・・って感じで。

誉め言葉はせいぜい「君はしっかり者のお母さんになりそうだな」あたりで。「君の言葉は相手の喉笛を切り裂いて、息を止めることもあるんだ。君は感傷的な冷血漢だ」とか。「考えるのはやめたほうがいい。単なる料理が上手でチョコレートの好きな美人でいることだ」とか(私は美人とは言われなかったが…)。それで本人も「思考を停止させるのは簡単だ」なんて思うんだけど、実際にはそんなことはできないところ、とか。

だから私は、彼女が岳のような男とずるずる離れられない感じが、手に取るようにわかります。岳は、社交的なようで、社会に参加していない人。甘くてずる賢くてどうしようもないヤツ。恋人としては最低で。でも厳しい言葉を言うことで結局は真緒を甘やかしてくれる人。ほとんど、言葉によるDV状態なんですが、それでもそれが愛のような気がしてしまう。真緒は、一見Sに見えるMなんですよね…って、何の話になってるんだか…(笑。

とにかく、こういう関係は、まぎれもなく不幸なので、真緒には抜け出して欲しかったのですが…。抜け出せないからこそ、不幸なんですよね。一方の睦美さんと浩之さんは、紆余曲折あっても、なんとかたくましく生きていける人たちですね。なんだかんだ言っても、ノーマルで、健全で、社会的な生命力があるカップル。この二組の入れ替えは、ききそうで、絶対にきかないんですよね。そういう意味では、読み始めたときから、ラストがわかっていたような気もします。
| か行(近藤史恵) | 22:57 | - | - |
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