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ぼくとひかりと園庭で 石田衣良
4198620881ぼくとひかりと園庭で
石田 衣良
徳間書店 2005-11-19

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ひぐらし幼稚園のお泊り保育の夜に、魔法で18才になったあさひとひかりは、将来の自分たちに待ち受ける「恋の試練」を経験します。2人にはみずきくんという親友がいて、みずきくんもひかりの事が好きなんです。18才のみずきくんは、2人が自分に隠れてつきあっていたことを知って自暴自棄になり、幼稚園児たちを殺し自殺することになっています。あさひとひかりは、「恋の試練」をのりこえて、その事件を止めなければなりません。

子供のために書いた、と、前書きにあるのですが、子供がこの本を面白いと感じるとは思えません。著者が伝えたい事は、これだけ直接的に書かれていても、やっぱり子供にはわからないと思うし、わからせてどうする!という気もします。

そしてこの本には、その部分をわからないなりに、子供が楽しめる要素がない。たとえば、夜の幼稚園の冒険にワクワクできるとか、素敵な魔法が詳細に描かれてドキドキできるとか、そんな要素があれば、子供も楽しんでくれるかもしれないけど。

大人のための童話として書かれた、と、考えると、あまりに陳腐。どこかで見たようなエピソードとセリフの連続で、しらけます。

あさひとひかりに自分を重ねて、うっとりと酔うことのできる大人がどれだけいるのでしょう。誰もが「恋の試練」を経験するとして、そんなことをあらためて言われても・・・ねえ。そして何より大人には、可哀想すぎるみずきくんの存在を無視して、この本を楽しむ事はできないでしょう。

いったい誰が、この本を喜ぶんだろう。もしかしてもしかすると、大人の男の人かな?あ、これを彼女にプレゼントしちゃう人とかいそう。内容はともかく、付き合い始めたばかりの彼氏にもらうなら嬉しい本かも(笑)。

絵は綺麗だし、いい話なんですけどね。やっちゃったかな・・・って感じ。児童文学って、本当に難しいんですね。
| あ行(石田衣良) | 16:27 | - | - |
▲ 赤・黒 石田衣良
4198613087赤(ルージュ)・黒(ノワール)―池袋ウエストゲートパーク外伝
石田 衣良
徳間書店 2001-02

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1時間で1億円の大博打。池袋のカジノ売上金強奪。襲撃成功。ところが、金を横取りされて…。怒りと誇りが男を這い上がらせる。逆転の確率は2分の1。赤か黒。人生の全てを、その一瞬に賭ける。
「MARK」データベースより

IGWPの外伝で、マコトは出てきませんが、サルはでっずっぱりだし、Gボーイズも出てきます。でも、池袋っぽくはなかったなあ。ディティールは池袋なんだけど、雰囲気が池袋っぽくない本でした。まあ、私も裏社会なんてまったく知らないから、小説やテレビからのイメージなんですが・・・。地方の大都市か、東京で言うなら新宿っぽい雰囲気の本でした。

ストーリーは、面白くないとまでは言わないけど、読み応えがなかったなあ。あっけなかったです。

私は、競馬でもパチンコでも賭け事は嫌いだし、それが違法なら恐いだけだし、たぶん一生縁がないでしょう。人生は「賭け」だ、なんていう考え方も嫌いです。でも、人生にはときに大きな「賭け」に出なければならない時もある、っていうのは本当だと思う。その「時」に、布団をかぶって震えながら嵐がすぎるのを待っていたら人生終っちゃった〜・・・というのは、最悪だと思う。(私ってこういうタイプなんだよな。。。)

解説の「日本では、なぜカジノが公認されないのか。」という薀蓄が、この本で一番面白かった。しょぼい国だよなあ・・・。
| あ行(石田衣良) | 14:08 | - | - |
■ スローグッドバイ 石田衣良 
4087478165スローグッドバイ
石田 衣良
集英社 2005-05-20

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石田衣良さんが描く、小さな恋の物語。粒ぞろいの10編です。

私が好きだったのは「線の喜び」「ローマンホリデイ」「泣かない」。

・線の喜び
主人公サツキは、才能あるアーチストの卵とばかりつきあって、いろんな面でつくして、編集者として彼らにチャンスを与えます。でも、彼らが世間に認められたときに、一気に気持ちがさめてしまう。そんな恋愛をくりかえしています。

この本の中では、彼女に一番感情移入できました。好きになる人のタイプも、うんうん、わかる、って思いました。ただ、私には才能を見抜く目はないけどね・・・。失敗するとわかってて、また同じパターンの恋愛を何度も繰り返してしまう。身に覚えがありすぎる。

・ローマンホリデイ
会うことを約束したメール友達の女性が、実は寝たきりのおばあさんだった、というストーリー。それを知った主人公が、どんな行動をとるかがポイントです。一番後味のいい小説でした。

何年か前、ネットが一般家庭に普及した頃に同じような物語を読んだ事があるような気が、しないでもありません。(出典はさだかではありません。もしかしたら、ハードカバーの同じ本かも。再読なのかも。)

・泣かない
恋人にひどく傷つけられて泣けなくなった女の子と、彼女を見守る青年の物語。彼がすごく優しい。いいなあ、こんな人、どっかにいないかなあ。

「フリフリ」や「夢のキャッチャー」も、やや男のロマンチストぶりや、男のセンチメンタルが、強調されすぎていて、引いてしまう部分はありましたが、爽やかで良かったです。

全体として、長さの割りにセックスシーンが多すぎて、ちょっとひきました。特に前半は、読むのをやめようかと思ったくらい(電車の中でしたし・・・)。けしてカマトトぶるつもりはありませんが、過剰なセックスシーンは、いろんな意味で邪魔ですよね・・・。
| あ行(石田衣良) | 22:37 | - | - |
■ 約束 石田衣良
4048735497約束
石田 衣良
角川書店 2004-07-27

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苦しみから立ち直る人々の姿を描いた癒しの物語。毎日どこかで誰かが、理不尽な苦しみにあっているから、こういう物語は、なくてはならないと思う。いい本だった。でもちょっとわざとらしい感じとか、リアリティに欠ける感じがして、私は泣けなった。(「絶対泣ける短編集」って帯に書いてあるんだよ。すごいよね)

・約束
事件があまりにも悲惨で、しかも子供が主人公ということで、嫌でも心に残ってしまった。終わり方は気に入らないんだけど…いちばん泣きそうだった話はこれ。でも、この話は、これで終わりではないと思う。これからも続いていく、カンタの人生は、この事件の記憶のせいでやっかいな事がたくさんあるだろう。これからのカンタを応援したい気分になった。

・青いエグジット
あまりにも立ち直りが安易で、唐突過ぎる感じはしたけど。でも「海」とか「空」の癒し作用って絶対に大きいと思ってるから、この話には好感を持てた。タイトルも好き。

・ハートストーン
息子の脳腫瘍と、父親の心臓発作という二重の悲劇の中にいる女性が主人公。暗い話なのに愛情いっぱいで、この話がいちばん好き。いちばんリアリティがあったし、わざとらしくなかった。この話が最後に来ていて良かった。
| あ行(石田衣良) | 16:47 | - | - |
● アキハバラ@DEEP 石田衣良
4163235302アキハバラ@DEEP
石田 衣良
文藝春秋 2004-11-25

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潔癖症で手袋がないと生活できないデザイナー。

文章力は天才的なのに、吃音で人としゃべれないライター。

時々氷のようにフリーズしてしまうデスクトップミュージシャン。

その世界では有名なハッカーだけれど、離人症気味のプログラマー。

引きこもり歴10年、そして現在は帰宅恐怖症の法律専門家。

コスプレ喫茶でバイトをしながら、格闘技と迷彩服に魅せらる美少女。

「社会不適応者」で「弱者」であった6人が助け合って、それぞれの特技を生かした仕事ができるようにと、人生相談サイトの管理人・ユイさんが出会わせてくれるところから、物語は始まります。彼らは秋葉原に小さな事務所を借りて、そこで画期的な検索システム「クルーク」の開発に成功するのです。しかし、そのシステムは、とある大手IT企業に目をつけられて、6人は、業界最強の人物を敵に回すことになってしまいます。彼らの戦いぶりと、素敵なチームワークと、弱々しい雛のようだった彼らがどんどん成長していく姿を描いています。

とまあ、こういうとても石田さんチックな物語。IWGPよりも、弱者が強者に立ち向かうという構図がはっきりしていて、彼らのチームワークの良さがほほえましく、弱者の成長ぶりもはっきりしていて、わかりやすい本でした。それでも、長編なので、読み応えもあります。でも、IWGPに映像から入って好きになった人にはオススメしません。彼らのかっこよさは、IWGPのかっこよさとは違うので。

石田衣良さんらしく、ディティールにこっているところも、最近話題の秋葉原に、詳しくない私は興味深かったです。本当に彼は「時代を描いちゃう」作家さんだよね。すでにもう古いの。最新OSがWinのMeだっていうからびっくり。多くの作家さんが、できるだけ長く読んでもらえるように、作品が古くなってしまわないようにと、固有名詞などの工夫していることを考えると、石田さんっていさぎいい!。本当にその瞬間を紙の上に焼き付けてしまう。これはこれで、ある種の恒久的な価値を作品に与えている気がします。

私が気に入ったのは、彼らのうちのリーダーが、ページ・こと吃音のライターであるところ。彼は別に選ばれたわけではなく、自然発生的に代表の役割を果たすようになったのですが、普通「しゃべれない」というのはそれだけで、リーダーとしてはハンディが大きいものでしょう?彼はしゃべるかわりに、キーボードを叩き、周囲の人たちは画面でそれを見る事でコミュニケーションをとっているんだけど、普通、こういう人はリーダーには不向きじゃない?普通、大きな声で注意を引いたり、時には人の言葉をさえぎったり、対外的な交渉でスマートに対応できたりする人が、自然発生的なリーダーになる。

それなのに、この本では、ページがリーダーなんだよね。ページがリーダーとして認められていて、みんなが彼の指が生み出す言葉を待ってて、それについていく。なんか、温かくて優しくて、素敵なグループだなあ、って思いました。

ストーリーも面白かったです。というわけで、基本的にはオススメ本。

さて。面白かったんですけど…ラストはあれでいいのかなあ?ネタバレはしないけど、あれはやっぱり単なる犯罪なんじゃないかと…。まあ、先に犯罪行為を行ったのは強大な敵のほうではありますが、これが認められてしまったら、法治国家に暮らしている意味がないじゃないですか…。

もちろん、法律が彼らを守ってくれるだろう、なんて、私は思いません。でも、他のところではとても真面目で、賢く立ち回ることはあっても他人に迷惑をかけるようなことはなかった彼らが、「人を傷つけたくない」と言い続けたリーダーが、最後に選んだ手段がこれだなんて、ちょっと納得できません。だって実際何人も大怪我をしてるし、街を巻き込んでいるんだから、場合によってはもっと一般市民の大惨事が起こる可能性もあったはず。「楽しく」やっていいことじゃないでしょう?。こんなのは成長とは言えないでしょう?
| あ行(石田衣良) | 16:53 | - | - |
● ブルータワー 石田衣良 
4198619182ブルータワー
石田 衣良
徳間書店 2004-09-16

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★★★☆☆

気をつけたけど・・・多少のネタバレあり。

ものすごく面白かった。ひさびさに、入り込んじゃいましたねー。「自分、ちょっと落ち着けよ」と思って、ちょっと休憩入れたくらい・・・。感想書くの、むずかしいなあ。

帯には、何に遠慮してるのか「ヒューマン・ファンタジー」なんていう訳のわからないジャンルが書いてありますが、これはSFです。典型的なSF。だから、他のどの石田衣良作品とも似ていないし、従来の石田衣良ファンは好きではないんじゃないかと思うような作品です。石田衣良さんと言えば「現代感覚」が売りで、今風の、都会の、若者の社会を描く人でしょう?でもこの作品の舞台は、200年後の「ブルータワー」と呼ばれる塔のある世界。作風は1960〜70年代の懐かしいSF。主人公は、脳腫瘍患者の中年男。全く石田衣良さんっぽくない。

あとがきによると、9・11事件で受けた衝撃を小説の形で残したい、という気持ちから始まり、アメリカSF黄金期のある作品へのオマージュという形で終わっているそうです。なるほど、です。

200年後の未来は、生物兵器によって大気が汚染され、タワーの中だけでしか安全を保障されていない世界です。生物兵器「黄魔」、テロ、出生率の低下など様々な問題があって、人類は絶滅の危機に瀕しています。主人公は、近未来の新宿の高層ビル内のマンションと、200年後のタワーの中を行き来しながら、200年後の未来を救うために奮闘するのです。アメリカSFというよりは、「風の谷のナウシカ」風。ナウシカ好きな人は、この本も好きだと思うなぁ。あ、あと、あさのあつこの「NO.6」も思い出しました。

未来に飛ばされた主人公と同じく、読者も未来の世界がどんな世界か最初はわからない。誰が敵で、誰が味方なのかも、なかなかはっきりしない。そんな先の展開が全然読めない中で、大事件が次々におこって、ぐいぐいストーリーに引き込まれてしまいました。それに、脇役達がとても魅力的なのです。命の危険と隣りあわせで暮らす、未来の人々は、それぞれかっこよくて、たくましくて、彼らが一人、また一人、と死んでいくたびに目頭が熱くなりました。

あと、表紙の「ブルータワー」の絵がすごく素敵。ジャケ買いしそうなくらい素敵。小説の中の「ブルータワー」は、全然魅力的な場所ではないのですが、だから余計に、泣けてくるくらい綺麗です。

私は、この本、すごく好きです。基本的に子供の頃、海外SFにどっぷりつかっていた時期ががあるので懐かしかったし、私も石田さんと同じようにSFというジャンルの衰退を嘆いているSFファンの一人だから。あとがきの、この言葉は、私の思うところでもあります。

がんばれ、負けるな、エスエフ。現実が想像のすぐあとを追いかけてくる時代、今こそSFがもつはるかな夢と未来にむかう力が求められているはずだ。

人間の悪や残酷さを見たとき、僕達はそれと同じ数だけきっとある光と優しさに目をむける必要があります。
でも、読み終わってみると★は3つなんだよねー。読んでる間は本当に楽しくて、★10こあげたい!とか思ってたのに・・・。

一つ目の☆は、どうしたって、ラストのツメが甘い。あらゆる意味で甘すぎる。SFなんだから、かなりご都合主義なのはもう仕方ない。突っ込みどころ満載だけど、あえて目をつぶります。世界の救い方が、びっくりするほど地味だったのも、わたし的には良かった気がします。でも、脳腫瘍問題とか、不倫問題とか、何より未来の世界の社会問題とか・・・そんなに簡単に解決したことにしちゃうなんて・・・そんなぁ。

まあ100歩ゆずって、そこまでは許すとしても、エピローグは絶対にいらなかった。あれが、何かの作品のオマージュなのかなぁ。だとしてもやっぱり、あのシーンはいらない。ないほうが絶対いい。これから読む人には「エピローグは読むな」と、言って回りたいくらいです。エピローグなしで終わってくれれば、希望のある余韻が残ってよかったのに。★4つにしたのに。ものすごく残念で、がっかりでした。

二つ目の☆は、どうしても中年男の妄想についていけなかった。なんであっちでもこっちでも、若い女にもてまくり、せまられまくるんだ。「からだを大事に」ってそういう意味だったんかい!全体的に青臭い、理想主義的ヒーロー小説で、それを楽しんでるのに、そこだけオヤジくさいから、ひくんだよね〜。

でも、エンターテイメントとしては面白かった。本当に、面白かったです。石田衣良ファンの方と、コアなSFファン以外の方には、オススメできます。
| あ行(石田衣良) | 22:18 | - | - |
■ 1ポンドの悲しみ 石田衣良
40877468951ポンドの悲しみ
石田 衣良
集英社 2004-03-06

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石田衣良さんの恋愛短編集。あとがきによると、「三十代前半の、まだ恋愛に迷っている人たちの物語」だそうです。

・ふたりの名前
同棲中の朝世と、俊樹には、それぞれの持ち物にイニシャルをつけておく、という習慣があります。それは、別れる時にもめないためにと始めた事で、2人ともそれに不満はありません。最初は家具や家電にだけつけていたはずのイニシャルを、今ではスーパーで買った卵にまでつけています。

そんな2人の生活に変化をもたらすのが、飼う事になった一匹の子猫です。はじめて2人の生活に、イニシャルをつけることのできないものが入ってきたのです。まだ名前もつけていないこの子猫が、2人にどんな影響を与えるのか?

素敵なお話でした。これは子猫っていうところがポイントですよねー。もっと一般的に、妊娠しちゃった、というお話なら現実にもよくある(そしてあんまり読みたくないような)つまらない小説になってしまう。子猫というところに、夢があって、よかったです。

・秋の終わりの二週間
夫の方が14歳上、という年の差夫婦の物語。誕生日が2週間違いの2人は、その一週間だけ1つ年が近くなり、夫はその2週間とても嬉しそうなのです。この夫婦には末永く、幸せでいて欲しいと思いました。でも、こういう性格の男性って、早死にしそう。奥さんは、第二の人生をとても長く生きるような気がします。女性はそういう意味ではタフですから、2人ともそれぞれに幸せな一生をおくれるんじゃないかな?



印象的だったのは、上の二つです。全部で10の短編が入っていますが、ほとんどが、「素敵な物語」でした。これはもちろんホメ言葉ですが、少しだけ「リアリティがない」という意味合いも含んでいます。ロマンチックすぎるといいますか…。全体的にトレンディドラマみたいでした。男性はみんなそこそこ「かっこよさげ」な仕事をしている。女性はみんな、恋愛のことで悩んでいる。現実はもう少し厳しいよね。実際の30代前半付近の人が読むより、もっと若い人が読んだ方が楽しめるかもしれませんね。小学生の女の子が、中学生や高校生が主人公の少女漫画を楽しむように。

それから、タイトルですが。確かに目次を見ると、本のタイトルにふさわしいようなものはこの「1ポンドの悲しみ」しかありません。これがタイトルになるのは当然です。でも、タイトルが素敵だからといって、これを真っ先に読んだり、これに期待をかけたりするのはやめたほうがいいです。この本の中で、この小説だけが浮いています。ロマンチックなラブストーリーばかりの本の中に、8割がセックスシーンの小説が1つだけ紛れ込んでいるんです。かなり違和感がありました。小説自体がどうこうではなく、この短編集の中に入っているのはどうなんだろう…って。
| あ行(石田衣良) | 15:59 | - | - |
● 4TEEN 石田衣良
41045950124TEEN
石田 衣良
新潮社 2003-05-22

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直木賞をとったころに、(2年前くらいかな?)に読んだ本だけど、再読。好きだな、爽やかでいい本だ、面白い、と思った記憶がある。4人の男の子達が全員、リアルに魅力的に描き分けられていて、それぞれが石田さんらしい「現代らしい問題」に直面して成長する、青春ストーリー。

難病を患うナオト、100キロの巨漢のダイ、チビだけど勉強のできるジュン、ひたすら平凡なテツロー。彼らの間には、大きな経済格差もあって、それはますます広がっていきそうな気配。それでも彼らはこんなにも単純に友達。それがとても爽やかで好きだ、と、思いました。

こんな色とりどりなメンツが、こんな風に友達になれるのは、たぶん子供のうちだけだと思います。それに、男の子だけのような気もする。女の子って、今も昔も、「似たような人々」で群れる習性があるし、似てない人を排除する傾向もある。もちろん、女の友情だって捨てたものじゃないんですよ?お金持ちの子と貧乏な子や、美少女とブスが本当に打算なく親友だったりする事もあります!でもそういう場合、1対1の関係であったような気がします。男の子っていいなあ、と、思いました。

ウェルナー症候群のナオトという子をめぐるストーリーが、好きでした。TVで似たような病気の子(もっと平均寿命が短かったので、違う病気だとは思うけど)のドキュメンタリーを見た事があったので、絵的に彼らを想像してしまって。彼のために、援交してくれる女の子を探すという発想も、彼らの姿の必死さも、素敵だと思いました。(でも援交はいけませんよね。犯罪です。)

他にも、拒食症の女の子とつきあうことになったテツローの物語、メールの出会い系サイトでDVを受けている人妻と知り合うジュンの物語、そして父親を殺してしまうダイの物語。重くて重くてどうしようもないテーマばかりなのに、他の友達3人の視点から描かれ、友情が前面に押し出されることで、爽やかな雰囲気に仕上がっています。エロ本を集め、ストリップ劇場にもぐりこみ、セックスの事ばかり考えていると描かれているのに、とても清潔な子供達に見えます。

何度も候補になっては落ちていた石田さんが、この本でやっと直木賞だった、というのは、納得です。池袋シリーズなどより、重さと爽やかさのバランスがいいので、読後感がよくて万人受けするんですね。

再読した理由は、この本が、韓国で売れているという話を少し前に聞いたからです。でも、ここんとこ急に日韓関係はおかしくなっているので、今は買う人なんていないのかもしれませんね…寂しい事です。
| あ行(石田衣良) | 21:24 | - | - |
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