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■ 空を見上げる古い歌を口ずさむ 小路幸也 
4062118424空を見上げる古い歌を口ずさむ
小路 幸也
講談社 2003-04

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ごく普通の幸せな家庭を築いていた凌一の小学生の息子が、ある日、「みんなの顔がのっぺらぼうに見える」と言い出したことから、物語が始まります。凌一は、昔、同じことを言って、家族の前から姿を消し、以来20年間会っていない兄と、連絡を取ります。

この小説のほとんどが、凌一の兄・恭一が、子供時代を回想する部分です。昭和30年代〜40年代に、パルプの工場の町でおこった、一夏の奇妙な事件。いくつかの奇妙な事故と、殺人。心優しい恭一が、家族の前から姿を消すまでに、どんないきさつがあったのでしょうか?「のっぺらぼう」とはいったいなんでしょうか?

ノスタルジックで、温かい、ゆったりした本でした。

どっちかっていうと、恐いはずの本なのに。

小路幸也さん、という作家さんには、最近出会ったのですが、わたしの好きな恩田陸さんの男性版って感じですね。恩田陸さんの小説から、毒気を抜いて爽やかさを注入したような感じ。恩田陸さんと比べると、悪い人や、醜いものはあまり描かない、男らしくロマンチストな感じ。あるいは、対象年齢を下げたような感じ。そんな作家さんです(恩田陸さんを知らない人には、まったく通じない文章ですね…すみません)。詰めの甘さが目立つけど、これからに大期待。
| さ行(小路幸也) | 13:43 | - | - |
● そこへ届くのは僕たちの声 小路幸也 
4104718017そこへ届くのは僕たちの声
小路 幸也
新潮社 2004-11-25

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元刑事の八木は、植物状態の人間を目覚めさせることができる能力を持つ者がいる、という噂を追っています。親友同士の新聞記者とライターは、全国的に同じパターンで繰り返される、奇妙な誘拐事件の謎追っています。中学生のかほりは幼い頃から、空から聞こえる誰かの声を聞き続けています。彼らを結ぶキーワード「ハヤブサ」とは何なのでしょうか?

一握りの子供だけが持っている、「遠話」という超能力を扱った、夢と、友情と、勇気の物語です。前半はややスローテンポですが、登場人物が多いし、謎も複雑なので、ちょうどいいのかもしれません。後半にはいってすぐ謎解きがはじまり、そこからさらに大きな事件がおこって…怒涛の展開で、ラストまで一気に読ませます。感動しました!読む環境しだいでは泣けるかも(わたしは電車の中だったので…)

感動したんだけど…それだけに、残念な点がいくつか。

これは子供達の物語なのに、前半で「ミステリー」の要素が強まってしまったために、大人のキャラクターの方が立ってしまっているんです。おじさんたちはきちんと描かれているし、おじさんたちには感情移入できるんだけど、子供達は描き足りない感じ。みんな本当にいい子たちだなあ、というイメージしか持てない。子供達の誰かの視点で読めたほうが絶対に感動できる気がするので、そこがとても残念でした。

それから、ものすごくしつこく出てくる「宇宙・星空」という夢。これは雰囲気作りに役立っているような、いないような。…ページが無駄に使われている気がします。私は星空好きだから、天文台のシーンは楽しく読みましたが、小説の中ではいらないんじゃ?そしてその分、大事件のはずの「テロ」がこの作品の中でふわっと浮いてしまっている。どうやら、「ハヤブサ」とリン君は、遠話能力の持つ意味や、危険や、社会的な意義について、ずいぶん色んな事を考えていたようなのに、そういったことも描き足りない。子供達の宇宙への夢より、そういう真剣で深刻な面をもっと描いたり、「テロ」にいたる社会の状況とか、テロ事件のディティールとか、そっち方面で伏線を張っておけばよかったんじゃないかと思います。

という2点が残念でした。なんだか、ミステリーとしてはもちろんだけど、SFとしても、ファンタジーとしても、単に小説としても、詰めが甘い印象なんです。

でも、この本、かなり好き。好きです。宮部みゆきさんの「龍は眠る」を思い出しました。(レベルがちょっと違いますが。)
| さ行(小路幸也) | 13:41 | - | - |
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