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■ さよなら、そしてこんにちは 荻原浩
433492574Xさよなら、そしてこんにちは
荻原 浩
光文社 2007-10-20

by G-Tools
一風変わった職業についている人たちを主人公にし、一生懸命頑張る姿を温かく描いた短編集。手軽に読めて、後味も良くて、いい本でした。ただ、ちょっとインパクトは薄い。

○ さよなら、そしてこんにちは
笑い上戸の葬儀屋さんのお話。一番印象深く、一番好きな一編でした。

△ ビューティフルライフ
会社をリストラされたあと「農業をやる!」と宣言して田舎に移住したお父さんと、それに巻き込まれる家族の物語。「愛しの座敷わらし」につながる感じです。

□ スーパーマンの憂鬱
スーパーマン…と言っても、スーパーの店員さんの物語。タイトルにぷぷっと思いました。テレビの情報に振り回される消費者と、それに振り回されるスーパーマン。リアルでした。

美獣戦隊ナイトレンジャー
子供向けの特撮ヒーローものに出演するイケメン俳優と、彼らに、子供をたてに子供そっちのけで夢中になる母親たちを描いた物語。

△ 寿し辰のいちばん長い日
すし屋の板前さんの物語。

○ スローライフ
料理研究家の話。

長福寺のメリークリスマス
和尚さんと、クリスマスをやりたい家族の物語。これぞ、ザ・日本人。共感する人が多いんだろうなあ、と、思いましたが、私は好きじゃないです。
| あ行(荻原浩) | 16:05 | - | - |
■ ホテルジューシー 坂木司
評価:
坂木 司
角川書店
¥ 1,470
(2007-09)

大家族の長女に生まれ、天下無敵のしっかり者にして直情一本勝負系の女子大生、ヒロちゃん。ところがバイトにやってきた那覇のボロ宿、ホテルジューシーはいつもと相当勝手が違った。最初の洗礼は頼りにしていた先輩による置き去り。そしてあやしげな同僚達の存在が平穏な日常をいやがうえにもイベント化する。昼夜二重人格のオーナー(代理)や、沖縄的テーゲー(アバウト)を体現するような双子の老ハウスキーパー、ひっきりなしにやってくるワケありのお客さんたちにも翻弄されながら、ヒロちゃんの夏は過ぎてゆく――南風が運ぶビルドゥングスミステリ、待望の書籍化!!
「シンデレラ・ティース」のサキの親友、ヒロちゃんの一夏の物語。沖縄に旅行に行きたい!それも、長期滞在したい!と思ってしまう本でした。観光地にも行きたいけれど、沖縄の人々の暮らしというものを、観光よりももう少し深く覗いてみたい、そう思いました。特に、出てくる食べ物が美味しそうでね。食べてみたいな、うん。

ヒロちゃんは、好き嫌いが分かれるタイプの主人公だと思います。私は、ヒロちゃんよりかなり年上なので、ヒロちゃんがこれから年を重ねて少しは落ち着いて、色んな経験をして色んな事がわかるようになったら、どんなに魅力的な女性になるだろう、と、考えて好感を持ちました。自分の損得しか考えていない人が多い中で、他人に興味を持ち、親切にしてあげたいという気持ちを持っていて、それを行動に移す事を厭わないという、それだけで、彼女は今でも素敵な人だと思います。それに、いいお母さんになるだろうなあ〜。

でもまあ、現時点でのヒロちゃんは、若さゆえに、ちょっと行きすぎではある。おせっかいで、暑苦しくて、こんな子嫌い!っていう人もいるだろうな、と、想像はつきます。特に、都会で育って、核家族で、家族全員が健康で、ひどい災害や犯罪に巻き込まれた事のないような、ま、要するに私の周りにいるごく普通の人たちは。何不自由なく恵まれた暮らしをしている時には、こういう人のありがたみって、わからないものなんですよね〜。

だから、「シンデレラ・ティース」のように、軽い気持ちで人にオススメできる本、とは言えないかもしれないです。でも、私は好きでした。いい本だと思いました。
JUGEMテーマ:読書


| さ行(坂木司) | 02:29 | - | - |
▲ 女たちの内戦 桂望実
女たちの内戦女たちの内戦
桂 望実

朝日新聞社 2007-11-07

女たちの戦いは終わらない――。
キャリアウーマン、専業主婦、バツイチ、OL……20代から40代、理想と現実の間をさまよう4人の女たちの内なる戦いを描く連作短編集。

今年中に絶対結婚してやる。私はこの目標のためだけに生きている。こんなにかわいい私が、幸せな結婚をできないわけがない。もし、万一、できないとしたら、それは私が美し過ぎるから。アプローチする前に諦めてしまうほど、私は最高級の女。私に相応しい最高級の男を、必ずゲットしてやる。

うーん。女って大変だね…と、他人事のように思った、っていう感想です。女の傲慢さと、狡猾さと、逞しさと、そして弱さと。心理描写はすごく上手なんだろうなあと思ったのですが、どの短編の主人公も、なんだか「型にはまった」感じがしてしまって、どこかで(テレビドラマや小説やマンガの中で)見たことがある、薄っぺらい人物に見えてしまいました。そのせいで、自分みたいだ!と感情移入したり、自分の周囲の誰かに重ね合わせたりすることができなくて…うーん。上手な小説なんだろうなあとは思ったのですが…個人的にはイマイチでしたねえ。
| か行(桂望実) | 11:26 | - | - |
■ やってられない月曜日 柴田よしき
やってられない月曜日やってられない月曜日
柴田 よしき

新潮社 2007-08

どんなにちっぽけだったとしても、いつだって「私の世界」の主人公は私自身!

私、高遠寧々、28歳。実はコネ入社だけど、いちおう大手出版社経理部勤務。彼氏なんていなくても、気の合う同僚もいるし、お気楽な一人暮らしを満喫中。でも、そんな平凡な日々にも、いろんな事件は潜んでて――不倫、リストラ、社内イジメ。「あるあるある!」って思わず呟いちゃう、本音満載のワーキングガール・ストーリー。
会社という世界で働いたことのある女子なら、きっとみんなが共感できる「やってられない」感が、軽やかに描かれていて、楽しく読めました。コネで大手出版社に入社だなんて、個人的にはそれだけで、羨ましいことこの上ないですけどね(笑)。

模型作りという「私の世界」を思う存分満喫する時間と、現実の社会の中での「私の世界」であるところの会社と。その両方を愛せるようになった事が寧々の成長だなあと思いました。その成長を、寧々が会社の模型を作るという作業を通して描いていくという、作者のアイデアが素敵でした。世間は何かと殺伐としているけれど、よーく見れば、どんな人にも組織にも、きっと愛すべき部分があるんだよね。遅ればせながらそれに気がつく寧々に、共感できる本でした。
| さ行(柴田よしき) | 17:45 | - | - |
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