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▲ ミラージュの罠 茅田砂胡
ミラージュの罠―クラッシュ・ブレイズ (C・NOVELSファンタジア)ミラージュの罠―クラッシュ・ブレイズ (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡

中央公論新社 2007-07
「きみはいったい何なんだ?」慣れているように見えた。銃の扱いも、暴力も、あの異様な状況にも。少年はダグラスを見つめて微笑した。「賭けをしようか。この連中の仲間がまたダグラスを誘拐しにやって来る」心底ぞっとした。悪夢がやっと終わったのに、すかさず次の悪夢を強引に見せられている。そんな気分がする。「だったらなおさら警察に…!」「保護を求める?却下。それだと、また狙われるっていう賭けが成立しなくなる」開いた口がふさがらない。それが仮にも誘拐されそうになった被害者に言う台詞か。リィのことを「モンドリアン」と呼ぶ少年は何者かに狙われていた。しかもその奇妙な事件はまだ終わっていない。むしろここからが始まりだった。
| か行(茅田砂胡) | 01:19 | - | - |
■ ランナー あさのあつこ
ランナーランナーあさの あつこ

幻冬舎 2007-06

長距離走者として将来を嘱望された高校一年生の加納碧李は、複雑な境遇の妹を案じ、陸上部を退部することを決意した。だがそれは、たった一度レースに負けただけで走ることが恐怖となってしまった自分への言い訳だった。走ることから、逃げた。逃げたままでは前に進めない。碧李は、再びスタートラインを目指そうとする―。(帯より)
帯の内容紹介はもちろん間違ってないんだけど、どちらかというと、ランナーとしての碧李の物語より、兄として、また、息子としての碧李の物語のほうが、分量も多いし、インパクトも強かったです。陸上競技にはあまり深く踏み込んでいないので、そちらに期待してしまうと物足りなさを感じるかも。でも、碧李のあせりや苛立ちや無力感が、すごく伝わってくるので、王道の青春小説として、いい小説を読んだなあ、と、思います。帯に書かれているように「バッテリーを超えた」かどうかはわかりませんが、短い中にあさのあつこさんらしさがギュッとつまった一冊でした。あさのさんの本の中では、読みやすかったし、好きなほうです。

離婚とその後の生活のストレスから、血のつながらない娘を虐待するようになった母、千賀子。暴力におびえながらも、母親を慕う杏樹。母親に同情しつつも、妹を守ろうとする碧李。重苦しく、胸の痛む描写が続きます。ランナーとしての碧李に期待してくれている陸上部の顧問の先生や、碧李の友人である久遠の存在が、碧李にとっても、読者にとっても救いでした。

しかし、ラストはどうなんだろう。そう簡単に、虐待という難しい問題が解決するとは思えないので、ハッピーエンドのはずなのに、心配のほうが勝ってしまいました。千賀子の抱えるストレスは、何も解決していないし、杏樹への愛情が戻ったとしても、やはり、また虐待を繰り返してしまうんじゃないのかなあ。一時つらい思いをしても、杏樹は父親に引き取られたほうが、みんなが幸せになれるんじゃないか、と思ってしまいました。実の子を、愛しているにも関わらず、虐待してしまう親が実際にたくさんいる事を考えると、この作品の続きが心配で仕方ないです。続編…出るといいな。

マネージャーの杏子さんの恋のお話が中途半端なまま終わっているので、そこらへんも続編に期待しちゃいます。なんだかんだ言って、碧李と杏子さんがくっつきそうな予感。
| あ行(あさのあつこ) | 12:02 | - | - |
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