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● 回転木馬 柴田よしき
回転木馬回転木馬
柴田 よしき

祥伝社 2007-03-13

失踪した夫を追い続ける女探偵・下澤唯の前に、忌まわしい過去の事件が浮かび上がる。
渋川さわ子という関係者。
夫の目元を残す美少女…。
夫は唯を本当に裏切っているのか?
希望と哀しみが交錯する著者渾身の感動ミステリー。
「観覧車」「回転木馬」の主人公、女探偵の下澤唯という人物が、私はとっても好きなんです。本当に魅力的な女性だなあって思うんです。柴田よしき作品の登場人物の中で、一番好き。まあ、失踪した夫を一途に待ち続けている妻、という設定であるので、暗いキャラクターではあるんですけど、強くたくましく、不器用なほどに正直で、そして、とても優しい女性です。すごくカッコイイんです。

だから、「観覧車」の続編が出るのをずっと待っていて、「回転木馬」の出版が、とてもうれしかった。そして「回転木馬」を読んでみても、私は下澤唯がとても素敵だと思いました。夫に近付けば近付くほど、夫が自分を裏切ったのであろう事がわかってきて、おそらくもう自分のところには戻って来ないだろうとも思い、それでもただ、もう一度彼に逢いたいというだけの理由で、夫を探し続ける。愛だなあ。切ないなあ。そんな苦しい過程においても、そこで出会う他の人々に対しての、気配りと思いやりを忘れない。偉いなあ。私は彼女にどっぷり感情移入しながら読んで、そして、あのラストに本当に救われました。しみじみとハッピーな気持ちに満たされました。

ただこの本は、下澤唯だけの本ではありません。唯の関わる様々な女性たちの人生も描かれていきます。言美さんの人生は、唯に負けないくらい不幸で辛くて、でも、これからきっと強く生きていってくれそうで、良かったです。唯とお友達になって、これからも付き合い続けてくれないかな、言美さん。渋川雪さん、ね、ラストでいきなりいい人になっちゃいましたけど…やっぱりあなたはずるいと思うなあ。子供作っちゃうなんて、そりゃあ無いよ。

このシリーズはこれで完結だと思いますが、貴之が帰ってきて、唯はどうするんだろうね。ゆいちゃんと一緒に暮らすのでしょうが、家族に同姓同名がいるってややこしいよねえ。貴之は探偵に戻るのかなあ。個人的には、唯にも探偵を続けていってほしいけど、子供を産んで育てて…みたいなごく普通の暮らしにもどるのかなあ、とも思います。
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