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● 雨恋 松尾由美 
4104733016雨恋
松尾 由美
新潮社 2005-01-26

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タイトルどおり、恋愛小説ですが、ホラーであり、ミステリーでもあります。

渉が引っ越したマンションには、雨の日にだけあらわれる幽霊がいました。幽霊の名は、千波。3年前にこの部屋で自殺した、ということになっている、24歳の女の子です。しかし本人は自分は誰かに殺されたのだ、と、主張しています。渉は部屋から出られない千波の手足となって、真犯人を探すために動き始めます。

渉には最初、千波の声を聞くことしかできません。事件の謎や、千波の人生が明らかになるにつれ、また、渉と千波の距離が縮まるにつれ、足の方から順に、千波の姿が見えてきます。短かった千波の人生には、辛いことばかりで、本当に可哀想です。

渉は幽霊である千波を、恐いとも、気味が悪いとも思っています。にもかかわらず、初めから、彼女にとても親切です。千波に対してだけでなく、たとえば「ネコ好きな人」や、「病気の人」など、自分とは違う立場の他人の気持ちを、一生懸命想像して、傷つけないよう努力する、ありえないくらい優しくて、純粋な人です。

だから、「2人が仲良く、陽だまりのリビングで、ネコと幸せな時間をすごして欲しい」なんて読者はつい思ってしまうのですが、設定上それは無理なんですよねー。足しかなかったり、顔がなかったりする相手、しかもすでに死んでいる相手に、恋をすることになった渉の戸惑いが、ひしひしと伝わってきて、おかしくて、かわいくて、かなり切ないラブストーリーでした。ラストはちょっと、お涙。

事件の真相は、私には意外でした。伏線がはりめぐらされていたにも関わらず、全然よめませんでした。ミステリーとしても、読み応えがあると思います。






「ありえない恋、ラスト2ページの感動」「雨の日は魔法。小さな奇蹟があなたの心に水分を補給します。あの松尾由美が、こんなにストレートな切ない恋愛を書くなんて。」

これが、帯にあったあおり文句です。これは、今流行の、恋愛+死=涙、という方程式に、この小説をのせようとしたんだと思います。映画化するならヒロインは竹内結子でしょうね。私は古くからの松尾由美さんのファンなので、彼女の才能を、流行のこの枠にはめられてしまうのは、ちょっと嫌ですが、これで松尾由美さんの読者層が広がればいいなあ、と、思います。

松尾由美さんは、一貫して、SF+ミステリーの形の小説を書いてこられた方ですし、以前に出版された「スパイク」という本も、恋愛小説と言えなくもなかったし、代表作の「バルーンタウン」シリーズの中にも、恋愛の要素がつまったものはたくさんありました。「雨恋」は、私は、とても松尾由美さんらしい作品だと思います。松尾由美さんらしくて好きです。

とりあえず、殺人事件の謎解きをしながら、幽霊と恋愛する物語を、ストレートな恋愛小説とは言い難いと思います。帯に偽りあり、ですよね。
| ま行(松尾由美) | 22:59 | - | - |
■ アンハッピードッグズ 近藤史恵
4120029417アンハッピードッグズ
近藤 史恵
中央公論新社 1999-10

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ネタばれあり。

舞台はパリ。作家の真緒はパリで暮らし始めて3ヶ月。ホテルで働く同棲中の恋人の岳が、新婚旅行でパリに来てスリにあったカップルを拾ってくる所から、2人の男と2人の女の物語がはじまります。

凱旋門、ベルサイユ宮殿、オルセー美術館、日本人観光客であふれるブランドショップ、クロワッサン、ワイン、羊の脳。パリを描写するディティールが全編にちりばめられていて、旅行に行きたくなりました。

近藤史恵氏を、ミステリーの作家さんとして好きだったので、恋愛小説の苦手な私は「著者初の恋愛小説!」と宣伝されたこの本を、わざと読みませんでした。読まないままだいぶたって、今日たまたま手にとって見たら、意外や意外。私、この本好きかもしれません。

真緒という主人公が、私には、個人的にとても感情移入しやすい人物だったからだと思います。真緒が言われるセリフの1つ1つが、私も似たようなこと言われたことある・・・って感じで。

誉め言葉はせいぜい「君はしっかり者のお母さんになりそうだな」あたりで。「君の言葉は相手の喉笛を切り裂いて、息を止めることもあるんだ。君は感傷的な冷血漢だ」とか。「考えるのはやめたほうがいい。単なる料理が上手でチョコレートの好きな美人でいることだ」とか(私は美人とは言われなかったが…)。それで本人も「思考を停止させるのは簡単だ」なんて思うんだけど、実際にはそんなことはできないところ、とか。

だから私は、彼女が岳のような男とずるずる離れられない感じが、手に取るようにわかります。岳は、社交的なようで、社会に参加していない人。甘くてずる賢くてどうしようもないヤツ。恋人としては最低で。でも厳しい言葉を言うことで結局は真緒を甘やかしてくれる人。ほとんど、言葉によるDV状態なんですが、それでもそれが愛のような気がしてしまう。真緒は、一見Sに見えるMなんですよね…って、何の話になってるんだか…(笑。

とにかく、こういう関係は、まぎれもなく不幸なので、真緒には抜け出して欲しかったのですが…。抜け出せないからこそ、不幸なんですよね。一方の睦美さんと浩之さんは、紆余曲折あっても、なんとかたくましく生きていける人たちですね。なんだかんだ言っても、ノーマルで、健全で、社会的な生命力があるカップル。この二組の入れ替えは、ききそうで、絶対にきかないんですよね。そういう意味では、読み始めたときから、ラストがわかっていたような気もします。
| か行(近藤史恵) | 22:57 | - | - |
▲ 事件シリーズ? 上遠野浩平 
4061821350殺竜事件―a case of dragonslayer
上遠野 浩平
講談社 2000-06

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4061821849紫骸城事件―inside the apocalypse castle
上遠野 浩平
講談社 2001-06

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4061822829海賊島事件―the man in pirate’s island
上遠野 浩平
講談社 2002-12

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406182404X禁涙境事件 ”some tragedies of no-tear land”
上遠野 浩平
講談社 2005-01-14

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殺竜事件・紫骸城事件・海賊島事件・禁涙境事件

竜、海賊、魔法文明、異世界ファンタジー、仮面の男、本格ミステリー。キーワードを並べただけで、私が好きじゃないはずはない!というシリーズですね。シリーズだけど、1話完結なので感想を書こう・・・と、思ったけど、今日は4冊分書くのは面倒なので、4巻までまとめての、感想、ということで。だって、この人のシリーズを、完結してから感想を書こう、と、思っていると、たぶんいつまでも書けないんですよね(笑

昨日と今日でまとめ読みをしたけど、だいぶ前から一応読んではいるシリーズです。実際面白くて、好きなんですけど、実は、3冊目の「海賊島事件」あたりで、やっとこのシリーズの読み方がわかったという感じ。1冊目はともかく、2冊目で、コンパスをなくしてしまったみたいに読み方がわからなくなっちゃった。でも、3・4冊目でなんとかコンパスを取り戻して、やっぱり好きです。コンパスを取り戻してみると、2冊目もちゃんとおもしろいですね。

って、また自分にしかわからない文章を書いてしまいましたが・・・。

とにかく、そういうわけで一番好きなのは3冊目「海賊島事件」です。

でも。あのー。エドを、EDと表記するのは、やめてもらいたいなあ。なーんか気が散るんだよね・・・笑。
| か行(上遠野浩平) | 22:53 | - | - |
■ 東京ANGEL 黒の狙撃手 本沢みなみ
4086005522黒の狙撃手
本沢 みなみ
集英社 2005-02

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シリーズものだけど、1冊完結なので、感想を。

大好きな東京ANGELも、もう24弾ですかあ。早いですね・・・。冊を重ねるごとに、どんどんどんどん暗くなっているこのシリーズですが、今回は、湊ちゃんの過去が明かされ、さらに暗ーくなっております。亘くんの帰国で、会話が明るい場面があるのが救い・・・。っていうか、そのために亘を帰国させたんじゃ?って感じです。だって、ストーリーには亘が帰ってくる必要性がないんだもの。園子の事があるので余計に、このタイミングにピッタリで亘が帰ってくるのは不自然です。というわけで★1つ減り。M復活の謎は、誰でも気づくだろ!ってことで、★2つ減り。

それにしても湊ちゃんかわいそう。今までの登場人物も、みんなそれぞれに暗い過去の持ち主でしたが、湊ちゃん、ダントツ!一番不幸!聖も尚也も、湊ちゃんに比べたら、全然甘い!

最終巻が近い、と、あとがきに毎回書いてあるような気がします。次は最終巻なのかなあ?あと一冊で、いろんなことに収集がつくとは思えないんだけど・・・。
| は行(その他の作家) | 22:51 | - | - |
■ 砂漠の船 篠田節子
4575235075砂漠の船
篠田 節子
双葉社 2004-10-12

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崩壊していく家族の物語です。父親は温かい理想の家庭に1人こだわって空回りを続け、妻は子離れができずに浮気をし、娘は反抗的で自分の事だけを考えている。誰にでも心あたりがありそうな、痛いところをつかれる物語です。

興味深かったのは、この物語の背景になっている、日本の現代史です。それを、庶民の視点で丁寧に追った部分です。日本社会の「暗黙の価値観」の変遷、と言ったらいいのでしょうか。祖母・両親・主人公・娘と4世代の価値観が登場するので、この100年くらいでどんな変化があったのかが、見て取れます。

主人公の夫婦は現在50台後半。バブル期に働き盛りの年代で、東京で共働きをしていました。その時代に「家族を第一」にしようとした幹郎は、転勤を断り、出世の道を自ら閉ざしてしまいました。男女雇用機会均等法が成立しようやく女性にも責任ある仕事が任されるようになった時代、妻は家事と仕事を必至で両立しようとしていたのに、幹郎は妻の職場でのビッグチャンスを、自分の理想のために棒に振らせてしまいました。「地域と密着した人間らしい人生」を娘に与えようとして、私立中学に行きたかった娘を無理やり公立に入れました。

幹郎がそのような価値観を持つに至ったのは、父と母が出稼ぎ労働者で不在である、田舎の淋しい家で育ったからです。両親の出稼ぎのおかげで物質や学歴を手に入れたけれど、寂しかった、幸福ではなかった、そう思っているのです。また、母親の自殺が「都会に狂わされたんだ」という祖母の言葉にも縛られて、「都会の希薄な人間関係」を嫌悪しています。それで、「家族が一緒に暮らし、地域と密着した、平凡で穏やかな生活こそが一番である」と、考えるようになったのです。

しかし幹郎は、両親の仲間だった元出稼ぎ労働者の事故死事件をきっかけに、戦中戦後の、田舎のムラ社会の暗部や、出稼ぎ労働者の実態を知るようになります。父親の死をきっかけに、両親、また祖母の胸のうちも少しづつわかってきます。つまり幹郎が「理想」としていたものは、幻であり、そんなに素晴らしいものではなかったと、過去の事実から突きつけられるのです。

バブルが崩壊して10年、会社ではリストラが目の前にぶらさがっています。未来も明るくはありません。妻は会社も幹朗も捨て、自分の経験を生かした事業を起こして溌剌と第二の人生を歩み、娘は、オタク少女から同人作家を経て才能を認められ、ゲーム制作の一流企業に就職して、幹郎から去っていきます。彼女が最後に言うセリフがあまりにミもフタもなくて切ないです。

そんなわけで、とっても興味深かったけど、小説としてはタイトル通り乾いていて、ガリガリと鋭すぎて、読むのが辛い本でした。後味が悪すぎます。1度読んでおいて良かった、と、思いますが、2度は読まないと思います。
| さ行(篠田節子) | 22:50 | - | - |
■ 殺人の門 東野圭吾 
4048734873殺人の門
東野 圭吾
角川書店 2003-08

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『白夜行』『幻夜』を髣髴とさせるような、何十年にも渡って、悪友に利用され、転落していく男の物語です。さすが東野圭吾さんで、構成は緻密だし、はりめぐらされた伏線がきちんと生きていて、うならされます。殺意を真っ向から描いた、レベルの高い小説です。

わたしは『白夜行』『幻夜』が、ものすごく好きです。夢に見そうなくらい何度も読んだし、読んでしばらくは、熱に浮かされたような気分になったくらい、出会って良かった本でした。

でも、この『殺人の門』は、よく似た本であるにもかかわらず、そこまで好きではないんです。なぜかなあ?と考えました。

『白夜行』の二人の犯罪者も、『幻夜』の悪女も外から描かれています。彼ら以外の人物が、彼らの行動を描写していく小説で、読者は彼らの感情を知らされることはありません。彼らは辛いとも、悲しいとも叫ばずに、暗い運命を背負って、必死に上を目指していた。だから私は、彼らが本当に背筋が寒くなるほどの悪人であっても、哀愁を感じ、絶望から立ち上がる強さを感じ、それに圧倒されたんです。

いっぽう『殺人の門』は、田島という男性の一人称です。彼の弱さ、彼の憎しみ、彼の悲しみ、そういったものが前面に押し出されています。もう1人の、本当の悪役、田島の運命を狂わせる男、倉持に関しては、外からの描写だけなのですが、この本はあくまでも田島の本です。その田島が、ダメ男すぎるのです。『白夜行』『幻夜』の主役のような、説得力のある悪人ではないのです。ただ自分を哀れみ、同じ過ちを繰り返し、倉持に利用され続ける、心の弱い、頭の悪い、どうしようもない男なんです。

初めのうちは、彼に感情移入して読んでいたのですが、私は途中で、彼を見限ってしまいました。彼の不幸に哀愁を見るというより、自業自得、同情の余地なし!と、思ってしまった。最後の最後まで、そういう感想しかもてませんでした。

すごい小説だと思うけれど、好きではない。そんな感じです。
| は行(東野圭吾) | 22:48 | - | - |
▲ だりや荘 井上荒野 
4163231706だりや荘
井上 荒野
文藝春秋 2004-07-22

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事故死した両親が残したペンション「だりや荘」。残された娘の椿と、妹の杏、そして杏の夫の迅人が、だりや荘を営業していくことになります。迅人はだりや荘にやってくる以前から、繊細で美しい義姉の椿と不倫の関係にありました。しかし、明るく無邪気な杏のことも愛し続けています。この3人が交互に語り部をつとめる構成になっています。

まず、この状態で、3人で同居して一緒にペンションをやろうと考える迅人の神経がよくわかりません。っていうか許せません。それに作中で、無邪気に見える杏が、姉と夫との関係をずっと知っていた事がわかるので、そこでまた驚かされます。時々ストレス性の発作を起こし口がきけなくなる椿は、ある意味一番まともですが、この不倫劇を積極的にしきっているのは結局彼女なのです。登場人物はお互いに、思いをぶつけ合うこともなく、誰かを責めることもありません。ただ静かに淡々と、様子を伺っています。特に杏の表面的な平静ぶりは、恐いくらいです。

作中で、椿には、新渡戸さんという求愛者があらわれ、アルバイトに雇われた青年翼は、杏を愛するようになります。こんなにも緊迫した、崩壊一歩手前の人間関係が、小さなペンションの中で、どんな結末を迎えるのか・・・。2重3重にからみあった、ドロドロの不倫劇です。昼ドラの原作になりそうです。信州の美しい四季を背景にしていても、ドロドロ感は薄まりません。

正直、私の、苦手とするタイプの小説です。3人の語り部がいるとはいえ、1人称の小説なのに、登場人物の考える事が、理解不能。私は不倫小説が苦手なんですよね。でも、井上荒野さんという作家さんは、上手なんだな、というのはわかります。
| あ行(井上荒野) | 22:46 | - | - |
▲ もう切るわ 井上荒野 
4334737692もう切るわ
井上 荒野
光文社 2004-10

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ネタバレあり!

一人の男がいて、彼は不治の病におかされ、死期を宣告される。彼には「妻」と「愛人」がいる。この「妻」と「愛人」が交互に、彼が死に至るまでの時間の、自分の物語をつづっていく・・・という小説。

色んな意味で難しい小説でした。まず、読み始めた頃は、人間関係図が複雑でよくわからなかったし、時系列もよくわからなかった。でも、それはあとがきによると著者の計算内のようです。「誰にもある、心の中の迷路を、ただスケッチしてみたかった」ということで、このわかりづらさも、著者の意図どおりだそうです。

また、文庫本の背表紙では「男が最後に愛したのはどちらだったのか、あるいは女たちが真実愛したのはだれだったのか。」という謎が提示されているのですが、答えは出ないまま、男は死んで、物語は終わってしまいます。そのあたりも、どう考えればいいのかわからないままで、難しい顔をしたまま本を閉じてしまった感じ。

それに、一番に、この男のどこがそんなにいいのかがわからない!「妻」は経済力もあるし、芯の強さもあるし、それに「色気」というのでしょうか、大人の女性として魅力的な人です。「愛人」は明るくて、優しくて、こちらもまた魅力的な人です。なんでこんな二人が、このダメ男(浮気性のインチキ占い師ですよ!)にいつまでも振り回されているのか?謎!

とりあえずわたしは、この本から、「死」というものの、唐突さと、暴力的なまでの絶対性を感じました。でも、この感想は、この本にも、著者の意図にもふさわしくないんでしょうね。
| あ行(井上荒野) | 22:44 | - | - |
● プラネタリウム 梨屋アリエ
4062126494プラネタリウム
梨屋 アリエ
講談社 2004-11-26

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同じ町に住む4人の中学生を主人公にした、4つの恋愛短編集。この画像だとわかりづらいですが、装丁が非常に美しいです。

恋愛感情が高まると、空を壊してしまう少女。背中に大きな羽を隠した学級委員長。15センチほど空中に浮いている先輩。などなど、ファンタスティックで、ある意味少女趣味な設定の人物が登場します。

しかし、ストーリーは、そんな可愛いものではありません。大人の鑑賞にも耐える、と言うべきかな。第1話の美野里の自己中ぶりや、第2話の中也の自我の肥大ぶりは、大人であっても変わらないし。第3話で、彼女持ちの先輩に惹かれていくハレミンの様子は、不倫小説のOLと変わらないし、先輩も16歳にして男のずるさ全開です。第4話の磨布と衣生なんて、完全にレズですし。(衣生(イナリ)っていう名前、字面はいいけど変わってるよね・・・。女の子にこの名前つけると、たぶん苛められると思う。)

感想としては、1話と2話は主人公のキャラが嫌い。

3話と4話は雰囲気が哀しくて、好き。
| な行(梨屋アリエ) | 22:42 | - | - |
● ぼくは悪党になりたい 笹生陽子
4048735357ぼくは悪党になりたい
笹生 陽子
角川書店 2004-07

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エイジ、17歳。シングルマザーの母親と、異父弟との3人暮らし。仕事に恋愛にと忙しい母親に代わって、家事全般をこなし、腕白な弟の面倒を見て、幼馴染みの羊谷には振り回されっぱなし。エイジは、お人良しで、小心者の、苦労人で、読み始めるとすぐに彼の味方になってしまい、素直に応援したくなります。

物語は、母親が2ヶ月の長期出張中、自分は明日から修学旅行、という時に弟が水疱瘡にかかる、というエイジのピンチからはじまります。助けを求めて、母親の電話帳からランダムに選んでかけた電話番号。あらわれた親切な男性は、どうやら弟の父親らしく…。

責任の重い日常生活から逃げ出し、エイジは悪党になれるのか?話の本筋もすごく面白いですが、エイジと羊谷の友情(?)物語が、今時風に爽やかで好きでした。続編を期待します。羊谷主役バージョンなんかも面白そう。
| さ行(笹生陽子) | 22:41 | - | - |
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