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■ 義弟 永井するみ
義弟義弟
永井 するみ

双葉社 2008-05-20

押さえきれない破壊衝動を封じ込めてきた弟、心と身体に深い傷を抱えながら生きてきた姉。血の繋がりのないふたりは、本当の肉親以上に信頼しあっていた。しかし、ある事件をきっかけに"姉弟の箍”が外れていく。

スポーツインストラクターの克己と弁護士の彩は、血の繋がりのない義理の姉弟。成人した今、克己の
彩に対する感情は、姉以上のものになっていた。そんな中、彩の不倫相手が彼女の職場で急死する。助けを求められた克己は、彼女を守るため遺体の処理をするのだが・・・。(帯より。)
彩の視点でだけ読めば、この本はとてもスッキリしていると思います。彩の精神構造や思考回路はわかりやすいし、小説の構成としても終盤に山があって秘密が明らかになるパターンでスッキリ。あのラストも、前向きにとらえることができますよね。彩は傷つけられた子供だったし、自分でもたくさんの間違いを犯したけれど、その間違いを後悔し、告白し、それを償おうとしている。回り道をしたけれど、本当に好きな人に気がつく事もできました。これから色々大変だろうけど、自分の心の傷を癒して、克己と支え合って、強く逞しく生き抜いていけそう。そして、いつかきっと、幸せになれるだろう、そんな風に思えます。

ただ、この小説は克己の視点からも描かれているんですよね。克己の抱える押さえきれない破壊衝動というのが、「姉に対する思いを封じ込めていたから」とか「父親への反発」なんていう簡単な理由であれば、すべてがシンプルに解決するのしょうが、そういうわけではなさそうなところが問題です。克己の破壊衝動というのは根が深く、おそらくは母親を失った幼い時に心に抱えた闇が原因で、いつか、犯した罪を償って、彩と一緒にいられるようになったとしても、それだけでは解決しそうにありません。

克己が、つまりは克己と彩が、これからどうするのか、どうなってしまうのか、何も語られないままプツッと終わってしまったようで、もうあとほんのちょっとでいいから続きを書いて!と、思わずにはいられませんでした。
| な行(永井するみ) | 12:32 | - | - |
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