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▲ ジバク 山田宗樹
ジバクジバク
山田 宗樹

幻冬舎 2008-02-22

外資系投資会社のファンドマネージャー、麻生貴志は42歳。年収2千万を稼ぎ、美しい妻・志緒理と1億4千万のマンションを購入する予定を立てていた。自らを“人生の勝ち組”と自認する貴志は、郷里で行われた同窓会でかつて憧れた女性ミチルに再会する。ミチルに振られた苦い過去を持つ貴志は、「現在の自分の力を誇示したい」という思いだけから、彼女にインサイダー行為を持ちかける。大金を手にしたミチルを見て、鋭い快感に似た征服感を味わう貴志。だがそれが、地獄への第一歩だった……不倫、脅迫、解雇、離婚。 勝ち組から滑り落ちた男は、 未公開株詐欺に手を染め、 保険金目的で殺されかけ、 事故で片脚を切断される。 それでも、かすかな光が残っていた――。
ジバクはもちろん「自爆」ですよね。最後まで読むと「自縛」とも感じられましたが。

同じく転落していく人生を描いた「嫌われ松子の一生」に比べると、胸に来るものがありませんでした。まったく感動できなかった。作品自体も、作中で経過する時間も、「嫌われ〜」に比べると短いので、主人公に感情移入をする間もなく、終わってしまったからかもしれません。貴志が何を考え、何を感じているのかわからないまま、物語はどんどん展開し、そして終わってしまった感じでした。

わたし自身が女性なので、松子のほうに感情移入しやすいという理由も大きいのでしょうね。だって、この本の主人公である貴志の転落のきっかけってよくある浮気心なわけで、女性視点で見るとまったく同情の余地がない。

松子の最初のつまづきは、まだ若くて経験も力もない時に起こってしまったけれど、貴志は、社会経験も経済力も十分にあり、大人の分別を持っていて当然の年齢で、自らつまづく。松子の人生が、どうしようもないまま終わってしまったのに比べると、貴志の人生にはまだ可能性が残っているし、転落したとはいえ、最低限の生活が年金で保障されている。それなのに彼は過去の栄光を忘れられずに勝手に絶望している。なんだか、最後まで、貴志には同情も、感情移入もできないままでした。

そもそも、こんなに判断力が無く、向上心というか上昇志向もなく、意地もない男が、なぜ一度でも「成功者」になれたのか、不思議です。42歳まではファンドマネージャーとして有能だったとは、とても思えない…。

あの場面で終わらず、あと1日分、貴志の人生を描いてくれたら、また違った感想を持てたかもしれません。それから、ワーキングプアという社会問題を扱った小説であるということで、「嫌われ〜」とまったく比較しないで読むことができれば、また違った評価をすることができるのかもしれません。帯に「嫌われ松子の一生」男性版!だなんて、書かないでほしかったな。
| や行(山田宗樹) | 21:22 | - | - |
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