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▲ カレンダーボーイ 小路幸也
カレンダーボーイカレンダーボーイ
小路 幸也

ポプラ社 2007-11

2006年の現在、三都(イッチ)は大学教授、安斎(タケちゃん)は大学の事務局長。幼馴染の2人は、ある日同時に、48歳の記憶と精神を持ったまま小学5年生だった1968年にタイムスリップ。そしてそのまま2人で、睡眠をきっかけに2006年と1968年を行き来するようになります。

タイムスリップを繰り返すうちに、2人には、1つの目標ができました。それは、三億円強奪事件をきっかけに一家心中で亡くなった、クラスメートの里美ちゃんを、その悲劇から救い、同時に三億円を奪うことです。里美ちゃんを助けられなかったことを後悔し続けてきたイッチと、現代でどうしても三億円が必要になってしまったタケちゃんは、その目標に向けて全力を尽くします。

イッチに過去パートを、タケちゃんに現在パートをという形で語り手を分ける手法は、面白かったなあと思います。最後まで読むと、これがなかなか効いていました。こういう工夫のある小説は、個人的に好きです。

タイムトラベルものなので、いわゆるタイムパラドックスをどう処理するのか、という部分も見どころの1つだったと思うのですが…そこは情緒的に雰囲気でうまくごまかそうかなっていう感じでしたね(汗)。

2人のたてた計画が終了したときに、タイムスリップも終了するのであれば、この不思議な現象はつまり、この計画のために始まったってことだと思うのですが、それなのに、タイムスリップの原因がまったく語られないのが不自然。原因は無理でも、せめて、タイムスリップのきっかけくらいは描いて欲しかったです。

そもそも、イッチが里美ちゃんの手紙を受け取ったのは、里美ちゃんの死の後だったにも関わらず、彼がこんなにも長い時間、里美ちゃんの死に対して責任を感じ続けている理由が、よくわからない。他にも、描いて欲しい事が、描かれていなくて残念な感じでした。

逆に、タケちゃんのパートの浮気のエピソードは、ばっさり、なくてもよかったかなあ。少年時代の理想を追いかけるイッチの対象として、現実の大人の世界で生きる、タケちゃんの俗物ぶりを描くために必要だったのかな?とも思いますが…。でもやっぱり浮気エピソードのパートは間延びしていて退屈だったので、三億円問題だけで十分だった気がします。

イッチのパートは脇役がみんな魅力的で良かったのですが、お姉さんとすずめのエピソードは、無しだと思いました。「そのくらい本気で漫画家になりたかった」というだけ事をアピールするためのエピソードなら、まあいいんですけど。想像力不足を実体験で補いたい、なんていうのは、才能のない人が諦める寸前に追い詰められてする事じゃないか、と、思ってしまったので、才能ある設定のキャラクターと合わず、ピンと来ないエピソードでした。

ジャンルとしても、雰囲気としても、好きなタイプの小説だったのに、細かいところで色々惜しくて、入りこめないまま終わった、という感じでしょうか。

それでも、ラストにはちょっとやられちゃいましたけど。切なかったです。

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| さ行(小路幸也) | 03:52 | - | - |
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