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■ ねじの回転 恩田陸
ねじの回転―FEBRUARY MOMENTねじの回転―FEBRUARY MOMENT
恩田 陸

集英社 2002-12

処刑されたはずの二・二六事件の首謀者が、もう一度同じ時間をなぞって、事件を「再生」し「確定」しているシーンから物語は始まります。「再生」しなければならない史実と大きく異なる事態が発生すると、「不一致」が宣告され、時は止まり、戻り、「一致」するまで「再生」がくりかえされるのです。二・二六事件の顛末と、自分たちに待ち受けている悲劇を知っている3人の軍人は、なんとか少しでも違う結果を出したいとチャンスを狙っています。

時間遡行技術を手に入れた人類は、過去の忌まわしい歴史を改竄することができるようになりました。しかし、二・二六事件に介入した国連職員たちがしようとしているのは、改竄ではなく「確定」。誰がどんな意図で何をおこなっているのかわからない、すべてが曖昧なまま、物語は着々と進んでいきます。

王道のタイムトラベル小説の定石をきちんと踏まえた基本的なストーリーがありつつ、その上で、予想外の展開が次々から次におこる、本当に面白い小説です。この手のSF小説には必ずある、科学的な説明の部分(読んでもわからないので、私はたいてい読みとばす部分・・・)を、読みやすい造語で童話的に描いてしまっているのも、読みやすくて、上手い!と、思いました。

そして、それなのに、この小説は「硬派」なんですよね。そこがまた、いい感じなんです。この手の小説にありがちな、運命の恋人と時の流れにさえ逆らって結ばれて大感動とか、愛する人に待ち受ける辛い運命を止められなくて涙々とか、そういうエピソードはなしです。そのかわりに、二・二六事件に関わった軍人たちが、日本という国の将来とか、たくさんの部下の命を預かっている自分の指名とか、そういう真面目なことを考えている。未来からきた国連職員たちも、滅亡の危機にある人類を救いたいと、そればかり考えている。ちょっと古風で、クールで、かっこいい・・・「硬派」という言葉がぴったりの小説だと思います。私は好きです。

以前読んだときも、次に読むときは二・二六事件に関する詳しい知識を仕入れてからにしよう、と、思った記憶があるのですが、思うだけで・・・。またそれをしないままに、この本を再読してしまいました。それでも十分面白かったけど、二・二六事件をよく知っている人が読むと、もっと面白いんだと思います。次こそは!
| あ行(恩田陸) | 13:39 | - | - |
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