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■ 銀の砂 柴田よしき
銀の砂銀の砂
柴田 よしき

光文社 2006-08-22

売れない作家・佐古珠美はかつて、ベストセラー作家・豪徳寺ふじ子の秘書でした。珠美は、恋人だった俳優の夕貴斗をふじ子に奪われ、それをきっかけに秘書をやめました。その後、夕貴斗はふじ子とも別れ、音信不通になっています。ある日、珠美のもとに、フリーライターの島田という男がやってきて、夕貴斗の話を聞きたいと言います。この小説は、夕貴斗に関する数々の謎と、珠美とふじ子のドラマチックな人生を軸に描かれた悲劇です。

小説って内容だけじゃなくて、書き方しだいなんだな、作家さんってすごいな、と思わせてくれた一冊でした。読み終えてみれば、この本で描かれたいくつかの事件や、人間関係や、それぞれの登場人物の心情は、小説の世界ではありきたりなものでした。女同士のゆがんだ友情や、憎しみや嫉妬、それぞれの「欲」や「業」などが、どろどろに、ディープに描かれていました。でもそれは、ほかの似たようなテーマの作品と比べて、際立って深いということでも、突き抜けて「どろどろ」っていうことでもありませんでした。主要キャラクターもみな、レディースコミックか昼ドラに出てきそうな、型にはまったものでした。

それでもこの小説は面白いのです。視点を変えたり、時系列とは違う順番でエピソードを並べることで、謎を作り出し、読者を最後までひっぱってくれる。予想外のところに謎があり、オチがある。小説には、まだまだいろんな可能性があるんだなあ、と、思いました。

私は、柴田よしき=ミステリィ&サスペンスの作家さん、というイメージを持って読んだので、何が謎なの?何が起こるの?と思いながら読んで、この小説に大変満足しました。でも、そう思わずに、女の人生や情念を描いた小説を読んでいるつもりだと、たぶん、ラストに不満が出るんじゃないかと思います。「とってつけたよう」とか、「リアリティがない」とか、言われてしまいそうな気がします。それにやっぱり男性には、このどろどろはわかるまい、という気もします。評価の分かれる本だろうなと思いました。
| さ行(柴田よしき) | 21:08 | - | - |
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