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■ 下北沢 藤谷治
下北沢下北沢
藤谷 治

リトルモア 2006-06-30

この本は、どんな感想を書こうか、とても迷いました。下北沢という街を感じさせてくれたし、ラブストーリーとしても楽しめたし、現代詩についても考えさせられる部分があったし、土蔵真蔵の人生にも感じ入りました。時々うっとりするほど綺麗な文章があって、藤谷さんって、上手いなあって思いました。

でも、私にとってのクライマックスは、勇のこのセリフでした。
僕には、「ここは下北沢なんだから、店がいくら赤字を出しても、俺という人間がいつまでもぱっとしなくても、それはシモキタっぽい、かっこいいことなんだ」という傲慢さがある。
私は、ずっと、これを感じながら読んでいました。登場する下北沢の住人が、シモキタとそこに住む友人を熱狂的に愛する気持ちは、コンプレックスの裏返しだよなあ、って。登場人物は、自分に自信がなかったり、現状に不満があったり、将来が不安だったりする人ばかり。下北沢という街は、そういう人が、現実から目をそらし続けるのを助長する街。なんとなく、精神年齢の低い小説だなあと思って、好きになれませんでした。

でも、終盤で勇のこのセリフを読んで、「な〜んだ、わかってたんだ〜。自覚あったんだー。」と、思ったとたん、一気に、すべての登場人物のことを大好きになってしまいました。いとしい、いじらしい、一生懸命な人たちでした。下北沢も(現実のシモキタには詳しくないけど)大好きです。とても、いい本でした。
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