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▲ 眠れぬ真珠 石田衣良
眠れぬ真珠眠れぬ真珠
石田 衣良

新潮社 2006-04-27

年の差恋愛の本です。女性版画家の咲世子は、45歳。彼女は行きつけのカフェで、17歳年下のウェイター、素樹と恋におちます。咲世子の不倫相手や、彼につきまとっているストーカー、素樹の元恋人など、人物相関図はけっこうドロドロなのですが、2人の恋は純愛風で、あまりドロドロ感のない本にしあがっています。

だから、読みやすいといえば読みやすい。でも・・・いまいちのりきれない。物語は、咲世子側から描かれていて、大人の恋のはずだし、悩んだり泣いたりもしているのに、お手軽で薄っぺらい感じがしました。女性版画家と、挫折した若き映画監督が、海辺の街で恋に落ちる、なんて。設定からして安易で、つまんない映画かハーレクインロマンスあたりに、似た物語が大量にありそうな気がするんですけど・・・(具体的には1つも思い浮かばないので、もちろん気のせいなんですけど・・・)。石田衣良さんがこれを書く必要は、ないんじゃないかなあ。

それに、更年期を迎えた女性の気持ちなんて、わたしも未経験なのでわかりませんが、こうではないはずだ、というのはわかるんです。この小説は、主人公の心情描写に、かなりの美化があるように思います。男性から見て、年上の女性には、こうあって欲しいと思う、「年上の女性」像が描かれているんだと思う。勉強にはなりますけどね(笑)。全然リアルじゃありません。

でもそれは、同年代の女性が、自分がこうありたいと望む、「夢の自分」像と、重なる部分があるんじゃないか、とも思うんですよね。創造的な仕事をして、認められているプロであること。海辺のアトリエで暮す、かっこいい生活スタイル。様々な恋愛経験を積んだ後でまた、年下の男に賛美され、女として深く愛されること。心はいつまでも純粋で、少女のように恋をして、母親のように愛していける。そりゃあ咲世子は素敵です。わたしだって憧れます。

だから、女性から見れば全然リアルではない主人公ですが、自分が咲世子になったつもりで読めれば、感動的な、切なくも美しい恋の物語なんだろうと思います。泣けちゃったりもするんだろうなあ。小道具は嫌味なくらいオシャレだし、ディティールに凝ってるし、会話も映画みたいだし。自分は咲世子ではない、ということを忘れて入り込めれば、楽しめるのかもね〜。わたしには無理でしたね〜。

性描写ばかりが生々しく、その他はまったくリアリティのない恋愛小説。残念ながら、私の好みではありませんでした。ごめんなさい。
| あ行(石田衣良) | 14:23 | - | - |
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