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■ 虹を操る少年 東野圭吾
虹を操る少年虹を操る少年
東野 圭吾

講談社 1997-07

子供の頃から、あらゆる面で、天才だった光瑠。特に、光や色など、視覚情報に非常に敏感で、通常の人には見分けられないような色の違いを見分け、他の人には見えないほどの、小さな星を見ることができました。高校生になった光瑠は、自作の機械で光を演奏する「光楽」によって、人々にメッセージを送るようになり、それに感応した若者たちが、彼の周囲に集まるようになります。しかし、「光楽」が金になる、と、目をつけた大人たちの搾取が待っていました。光瑠の運命は?「光楽」の真実とは?

再読。面白かったです。東野さんが最近書いておられないファンタジーです。文庫の裏表紙には、長編ミステリィと書かれているのですが、どこがミステリィなのか、さっぱりわからない・・・。ジャンルをつけるとすれば、これは、ファンタジーでしょう。SFとも言えるかもしれないし、100歩ゆずれば、サスペンスでもある。でも、ミステリィはないよなあ〜。

初めて読んだとき、「龍は眠る」宮部みゆき と比べてしまったのを覚えています。「龍は眠る」は、あくまでもサイキック少年二人の個人的な苦悩と孤独を描いた本ですが、この「虹を操る少年」は、物語が、もっと広い世界や、未来への広がりを見せて終っています。どちらが好きかは、好みの問題でしょう。

「龍は眠る」のサイキックは「人の心が読める」「声を出さずにメッセージを送れる」という定番のものですが、心情描写がしっかりしていて、いわゆる「人間が描けている」、読み応えのある小説で、泣けました。ミステリィとしての物語の骨格もしっかりしていて、展開にも意外性があり、さすが、宮部さんの出世作です。(と、今読んでも思えるのか、ぜひ「龍は眠る」を再読したくなってしまいました・・・。)

「虹を操る少年」のほうは、「光楽」のアイデアがすごく面白くて、本物をぜひ見たいと思わせてくれました。でも、そこだけで勝負してしまって、もったいないなあと思いました。光瑠があまりに超然としすぎていて、読者からの距離が遠いんです。集まってくる若者たちの人物描写も、ちょと物足りなくて、異常に光瑠と「光楽」を慕う彼らにも、あんまり共感できない。もっと光瑠の心情描写がしっかりあって、彼が孤独に苦しんでいたり、誰かを愛していたり、悩んだり苦しんだりしてくれていたら、もっと萌えたと思うんですけど(笑)。

初版は1994年。文庫落ちが1997年。文庫版についている、井上夢人さんの解説が面白いです。東野さんは「ユニット方式」で小説を書いておられるそうなのですが、その「ユニット方式」というのが驚愕なのです。どちらにしろ古くて図書館ですぐ借りられるので、それなら文庫版がオススメ。
| は行(東野圭吾) | 12:52 | - | - |
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