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■ ありふれた風景画 あさのあつこ
ありふれた風景画ありふれた風景画
あさの あつこ

文藝春秋 2006-08

高校2年の高遠琉璃には、ウリをやっているという噂があります。真実とも、本人の意志とも関係ないところで、その噂が、ぷかぷか浮いて、流れていくのです。琉璃には、美人でオシャレな姉がいて、その反動でか、自分はオシャレに気合なんていれない決めています。それでも、爪だけはいつも桜色にしておきたいと考えている、なかなかキュートな女の子です。

そんな琉璃が恋をした相手が、超能力があるとか、呪いの力があるなどと噂され、やはり周囲から浮いている、先輩の綾目周子。彼女の美貌と、動物と話が出来るという力は、過去も現在も、問題を起こしてばかりです。
「十代ほど、たくさんの人に出会い、たくさんの人と別れる次代はないような気がする。出会いと別れを繰り返す時代、「さようなら」そんな別離の挨拶とともに、二度と会えなくなる人たち。その人たちをいつの間にか忘れていくわたし、忘れられていく私。出会いも別れも生々しく儚い。」
本文からのこんな引用が、帯に印刷されていて、「青春小説」と、書いてあります。たしかにそれは正しくて、この本はちゃんと青春小説なんですけど、わたしが「青春小説」に期待する、爽やかさや清々しさは、ない小説でした。(だからと言って、この本が嫌いというわけではないです。)上の文章から感じられる、痛々しさや、脆さは、多少ありましたが、なんかもっと濃厚な雰囲気の小説です。

この本の中では、琉璃と周子が共に過ごした1年間を扱っているのですが、二人それぞれの負荷は、「青春」とは関係なく、それぞれの個性として一生ついて回りそうな気がします。周子は自分の能力をあんな風に無造作に使い続けていたら、まともな社会人としてはやっていけないだろうから、きっとずっと大変だろうと思う。琉璃はどうやら思春期によくある「美貌の先輩にあこがれて」のパターンではなく、本物のレズっぽいので、青春期を卒業しても、やっぱり大変だと思う。この本のラストシーンが永遠に続くのであれば、いいのになあ。二人がどう成長するのか、今後が心配になってしまうような、しんみり本でした。

というわけで、どう読んでも青春小説というより、恋愛小説の要素が強いんですよねー。「バッテリー」などは、なーんかBLっぽい雰囲気だけど、青春小説なんだよね、と分かりましたが、この本はしっかり、レズ小説。2人とも恋愛感情をしっかり自覚した上でのおつきあいです。青春小説としては、あんまり、ありふれてないと思うなあ。

あさのあつこさんって、どっち方向に行きたいのかなあ。いまだ、つかみきれません。
| あ行(あさのあつこ) | 14:51 | - | - |
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