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■ 生きてるだけで、愛 本谷有希子
生きてるだけで、愛生きてるだけで、愛
本谷 有希子

新潮社 2006-07-28

過眠、メンヘル、25歳、の寧子の物語。

わたしも過眠はたまにやっちゃう人です。「生きているだけで疲れる」という寧子の言葉も、他人事ではありませんでした。もちろんわたしは、彼女ほどエキセントリックではないし、ドラマチックな人生でもないけど、やっぱり、寧子の言う「人として何かずれた部分がある」人間なんだと思います。「健やかな心を持った人達」と、結局うまくやっていけなかった寧子の気持ちが、とてもよくわかって、切なかったです。とりあえずは、津奈木がいて良かったね、と、思いました。

ただわたしは、同じようにずれた人間でも、寧子より、彼女の同棲相手である津奈木のような方向性でずれているんです。そして、やっぱり津奈木のように、寧子のような「はっきり、きっぱり、わかりやすくメンヘル」な人に魅かれてしまったり、逆になつかれたり、そして離れられなかったり、という経験を何度もしていて(恋愛関係以外が多いんですけど。)、だから、津奈木に1番共感しました。寧子側も辛いけど、津奈木側もかなり辛いんですよ〜。

自分の事ばっかり書いてもあれなんで、身もふたもない感想を書いてしまうと・・・。メンヘルなんて可愛く言っていても、彼女の場合はそれなりに深刻な躁鬱病だと思われるので、ちゃんと病院で治療したほうがいいと思います(笑)。

メンヘルにスポットをあてた小説はとても多いですよね。この本はその中でも、内容の重さの割に、読みやすい本でした。本谷さんに初挑戦!だったのですが、お上手ですね。他の本も読んでみたいと思いました。この種のネタは登場人物に絶望感があるので、そのまま書いたら重くて暗くてどうしようもない本になってしまう。だから、最近は、この本のように読みやすくサラッと描いてしまったり、逆に、簡単に治ってしまう癒し系ストーリーになっていたりしますね。どちらにしろ、自己陶酔や、美化がみえみえだと、読者は冷めてしまうので、バランスが難しいんでしょうね。この本は、そのどちらもなくて、行き詰った感じは良くでているのに、絶望的に暗くもなくて、読みやすかったです。

ただ・・・性格とか、育ちとか、現代社会のゆがみとか、そういうそれなりに文学的なテーマと、脳内物質の分泌異常が関係している、薬で治療できる病気の話を、いっしょくたにしてして描いてしまうのは、好きじゃないなあ、と、思いました。でも、まあ、病気である本人の一人称小説なので、しかたないと言えばしかたないですし、そういう彼女の目で見た「自分」と「自分の世界」というのは、読み物としては迫力も魅力もあって良かったと思うので、あくまでも好みの問題ですけど。
| は行(その他の作家) | 19:05 | - | - |
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