CATEGORIES
LINKS
<< ■ ルート350 古川日出男 | main | ▲ 思いわずらうことなく愉しく生きよ 江國香織 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
■ 強運の持ち主 瀬尾まいこ
強運の持ち主強運の持ち主
瀬尾 まいこ

文芸春秋 2006-05

あれ。瀬尾まいこさん、作風が微妙に変わったかな?今までの瀬尾さんの作品には必ずあった、痛々しさを、この作品からは感じなかった。

ショッピングセンターの片隅で、占い師の仕事をしている、元OLのルイーズ吉田。ルイーズは、占い師として特別な才能があるわけではないので、もちろん姓名判断などの基本的な業は持っているけれど、本当は、お客さんの外見や話し方を観察して、客の期待している答えを、あとで文句を言われないように言う、という方法をとっています。本人いわく「直感」で仕事をしているそうです。

ルイーズは、かつて恋人に連れられて客としてやってきた通彦が、あまりに「強運の持ち主」で「自分と相性がぴったり」であることに驚き、あの手この手を使って、通彦を恋人と別れさせ、今は彼と同棲中です。でも通彦は穏やかな性格のごく普通の公務員で、今のところその「強運」は発揮されていません。

ルイーズが、その人間観察能力を駆使して、お客さんの持ち込んでくる、さまざまな悩みを解決する連作短編集。占いという仕事には、かなりいい加減に対応しているのに、相手が単なる客ではなく、一個人ということになると、ルイーズは実に誠実です。相手のために一生懸命になれる、いい人です。そのあたりがアンバランスで、「ルイーズ」という作中人物の中で微妙に噛みあっていなかった気がしました。不自然だよな、と思いました。でも、よく考えたら、これはリアルなんですよね。自分の性格とか、ポリシーとかが、そのまま仕事に発揮できることなんて滅多にないし、発揮しちゃいけないことが多いですもんね。ルイーズはプロの占い師として「いい加減さ」が必要だから、そうしてるんですよね。

終盤になってクローズアップされる「毎日何かが終るんだ」というフレーズは印象的でした。そうしてルイーズが、自分の仕事に関して気がつく「あること」に関しては、ルイーズは無意識のうちに、もう知っていたんじゃないかなあ、と、思います。

さらさら読めちゃう楽しい本でした。表紙もかわいくて素敵です。
| さ行(瀬尾まいこ) | 14:32 | - | - |
スポンサーサイト
| - | 14:32 | - | - |