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■ シンデレラ・ティース 坂木司
シンデレラ・ティースシンデレラ・ティース
坂木 司

光文社 2006-09-21

主人公は、歯医者が大嫌いなサキ。大学2年の夏休み、歯科医である叔父の勤めるデンタルクリニックで、受付のアルバイトをするはめになってしまいました。とても個性的だけれど、仕事に対しては本当に真面目で、理想を追求するスタッフたちと共に、訪れる患者さんの虫歯だけでなく、小さなお悩みも解決していきます。坂木さんらしい、日常の謎系連作ミステリー短編集でした。いい人と、優しい人ばかりが出てきます。

歯医者が嫌いというのは、「歯科治療恐怖症」という立派な病気なんだそうです。私も、歯医者は苦手なので、サキの気持ちはよくわかりました。デンタルクリニックの裏側を扱った、お仕事小説として面白かったです。まあ、とても理想的なクリニックで、「裏側」とまでは言えないかな。本当にこんなクリニックがあるのなら、私もここに行きたいです!

「遊園地のお姫様」という短編が、1番印象的でした。このクリニックの人は、本当に優しい、いい人ばかりです。いいお話でした。たとえば、サキの一夜漬けの話。歯医者嫌いだったサキにプロ意識が芽生えたりなんだり色々あって、サキは歯科の勉強をするのですが、恐くて、症例写真を直視できず、飛ばし読みをしてしまうんです。それについて、後からサキが涙を流さんばかりに反省するのですが・・・本当に、サキはいい子だ!本当に優しい子だ!もちろん、謎解きをする歯科技工士の四谷さんもかっこいいし、お姫様こと常連の知花ちゃんもかわいいし、叶先生は理想的な歯科医です。

それから、この本では、サキの初めての「本物の恋」も描かれます。私、サキに(悪いところが)そっくりの性格なんですよねー。サキの過去と同じような、受け身で、辛くない恋愛ばかり、若い頃はしていました。さすがにそこからはとっくに卒業しましたが、サキのように、新しい自分に変わる事が出来ないまま、現在に至っています。だから、個人的には、サキに超共感の小説でした。

それに、確実に上手くなっているように思います。著者と作品の間に、いい感じの距離ができて、文章が読みやすくなっていると感じました。それに、1冊の本になったときの構成のバランスも、全然違和感を感じなくなりました。(今までの作品には、こういう事をちょっと感じてたんです。なんとなくアンバランスな作品を書く人だよな、って。)

この作品なら、安心して人にオススメできます。「普段あまり本を読まない友達」や「バイト先の本好きの生徒」に、面白い本ありませんか?って聞かれるという、超難しいシチュエーションにも対応できます。この本は、いい!普通に、いい!

でも・・・。なんか、坂木司さんが普通になっちゃったなあ、っていうのは、私には寂しい感じがして・・・なんとなくそれは残念で・・・。

デビュー作の「青空の卵」シリーズは、色んな意味で、つっこみどころ満載で、文句をつけたい事がたくさんあったんですけど、でも、強い魅力があったんです。私の少ないボキャブラリーでは、理由が言葉にならないけど、強い強い引力。それを、この本からは、感じられなかった。どうしてだろう?

次作の予告があとがきにあったので、ファンとしてはそれを読むまで、なんとなく落ち着きません。
| さ行(坂木司) | 01:20 | - | - |
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