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■ 落語娘 永田俊也
落語娘落語娘
永田 俊也
講談社 2005-12

☆ ええから加減
これは良かった!オススメです!

中年お笑い芸人「海野濱子・宇多恵」の物語です。コンビをくんで11年。人気は、関西ではそこそこ、というところですが、全国区で活躍するまでにはなりません。濱子は、夫がいつも家にいて、外で働こうとはせず、主夫という立場に甘んじていることにイラついています。

そんなある日、天然系ボケの宇多恵が、上方演芸大賞を目指そうと言い出します。そんな上昇志向など、見せたことのなかった宇多恵が急に熱心になったことに、濱子は驚きますが、彼女の才能を認め、彼女の熱意にほだされ、上方演芸大賞に向けて必死の努力を始めます。新ネタをつくり、持ちネタを磨き、半年間を駆け抜けます。2人の会話のテンポが良くて、それに、相方という2人の特別な関係がなかなか素敵で、笑える話なのに感動してしまいました。やっぱり相方っていうのは単なる友情ではないから、好悪の情だけではなくて、まずは相手の才能を認めているということ、そして相手を尊敬し、相手に感謝しているという事、そんな事が必要で、2人にはそれがあった。だからこそ「海野濱子・宇多恵」の頑張りは、実を結んだんだろうと思います。

また、この短い物語の中に、濱子の「だめんず・ウォーカー」的プライベートストーリーも含まれていて、読み応えがあります。濱子の旦那、最低。バカ、アホ、マヌケ。死んじゃえ。ああ、もっと臓腑をえぐるような形容詞が、自分のボキャブラリーにないのが悲しい。濱子がんばれ・・・。

ちょっとビターなラストも含めて、この作品は、最高に良かった!私の中ではですねー、勝手に、「笑う招き猫」山本幸久 の10年後、という事にしてあります(笑)。相変わらず、真摯に漫才に打ち込んでいるアカコとヒトミだけれど、がんばってがんばって漫才が認められても、人生には、次から次に大きな壁が立ちはだかる。

・・・あ、違いました。アカコとヒトミではありません。上方漫才であるという大きな違いもありますし。でも、そう思って読むと、とても素敵な本なのです。(山本さんにも、永田さんにも、大変失礼なのかもしれませんが・・・。)

「笑う招き猫」を読んで、好きだと思った人には特にオススメ。

△ 落語娘

ガチガチの男性社会である落語の世界で、「落語を愛する気持ちは誰にも負けない!」と、修行をつむ、香須美の青春ストーリー。ある噺家さんのファンになったというミーハーな理由がきっかけとはいえ、香須美は、中学時代から大学時代まで、学生時代の10年間を落語に打ち込んできました。今では心から、落語家という商売を愛し、真摯な修行を続けています。女だということで屈辱を味わうばかりの、前座の毎日ではありますが。

女だというだけの理由で、大好きな噺家さんからも拒絶され、弟子入りを諦めた彼女を拾ってくれたのは、落語界で異端視されている、平佐師匠。師匠が、噺家がオチの前で命を落とすという曰くのある「呪われた噺」に挑むことになったことで、香須美の周辺はにわかにあわただしくなります。呪われた噺の謎とは?平佐師匠と香須美の将来は?

香須美は強くてかっこよくて、特に、昔ファンだった柿紅に、タンカををきるシーンは最高に胸がスカッとしました。香須美ほどではないにせよ、ほとんどの働く女性は、女性であるというだけで見下される、彼女と同じ屈辱を知っています。だから、その点では、彼女を素直に応援できました。

ただ・・・。基本的に私は、オカルトが好みではないので、「呪われた噺」のエピソードが好みではありませんでした。それに私は、落語にもあまり、詳しくないんです。年に数回、笑点で見かけることがあるくらい。あ、あと、クドカンのドラマ「タイガー&ドラゴン」を思い出すくらい。だから、このストーリーにどっぷり浸って楽しむことは出来ませんでした。

それに、主人公がなぜか、あまり魅力的ではないんですよねー。青春のすべてを落語に捧げている、と言ってしまえば彼女はかっこいいけれど、小説の中の女の子の青春は、かっこいいだけでは物足りないです。恋と夢の板ばさみになって悩む・・・なんていう型どおりの展開だったら、それはそれで私は文句を言ったと思うけど(読者は常にわがままで・・・笑)、落語のことばかり考えるあまり、他の人の気持ちに鈍感で、言い寄る男も利用する、なんていう部分には、人間として共感できませんでした。青春って常に、心中複雑なものでしょう?それが描けていなかった気がしました。

芸術のためなら、すべての犠牲が許される、と、思っている人は、私の周りにもたくさんいます。(私は、音楽畑で育ったし、父はデザインの世界の人なので、周囲に芸術家くずれや、もどきが溢れているのです。)。そして、私も、ある程度それには賛成なんです。そう割り切った人だけが、本物のアーチストかもしれない。でも、小説の中でそれをやって、様になるのは天才だけだと思います。彼女の情熱はともかく、才能とか、勘という点では、まだ未知数で、様にならない主人公でした。

ちなみにこの本は、「図書館で本を借りよう!〜小説・物語〜」の、すのさんにオススメをいただきました。遅くなってしまいましたが、やっと読めましたよ!。情報ありがとうございました♪
| な行(その他の作家) | 02:37 | - | - |
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