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● 切れない糸 坂木司
切れない糸切れない糸
坂木 司

東京創元社 2005-05-30

うん。これは、素直に良かった!オススメ!

日常の謎系ミステリィの、連作短編集です。主人公は、新井和也。大学卒業が近づいても就職が決まらず困っていたところ、急に父親が亡くなって、思いもよらなかったことに、家業のクリーニング屋を継ぐことになってしまいました。クリーニングに関しては素人の和也ですが、母親とパートのおばちゃんトリオがカウンターを仕切り、アイロン職人のシゲさんが土台を支え、師匠のように和也を教え、店はなんとか回っていきます。和也も、少しずつプロのクリーニング屋としての自覚を持ち、商店街での責任を果たし、経験を積んでいきます。地に足のつかない学生が、成長していく青春小説として、また、お仕事小説として、いい本でした。その面では、シゲさんという人物がとっても素敵なキャラクター。シゲさん、いい人だなあ。

もちろんミステリィなので、ちゃんと謎があって、探偵がいて、解決編があります。謎解きメインで読んでしまうと、ちょっと弱い小説かもしれませんが、クリーニング屋という仕事と関わる謎が多くて、へぇ〜、と勉強になることがたくさんありました。どんな仕事でも、奥って深いのね。

探偵役は、和也の大学の友人で、近所の喫茶店で働く沢田です。彼は、和也が持ち込んでくる謎の真相を、和也の話を聞くだけで見抜いてしまう、いわゆる安楽椅子探偵です。この2人のコンビがいいんです。

「青空の卵」シリーズの「鳥井」と「坂木」ほど、「和也」と「沢田」の関係は、病的ではないし歪んでいません。それぞれが、自分の足でちゃんと立とうとしている。捨てられた動物や困った人を、助けずにはいられないという、和也の「生き物係」体質と、どんな人にも親切だけど、どんな人とも距離を置いて接してしまう「根無し草」系の沢田。2人の友情は、それぞれにとって特別なものではあるけれど、病的に依存しあうようなものではない。だから、「青空の卵」シリーズより、ずっと読みやすかったし、より多くの人に受け入れられると思います。こんな友情なら、うらやましい。ラストも、爽やかで好きです。
| さ行(坂木司) | 11:07 | - | - |
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