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▲ 動物園の鳥 坂木司
動物園の鳥動物園の鳥
坂木 司

東京創元社 2004-03-23

ネタバレ警報!
ついでにちょっと酷評かもしれない警報!

「引きこもり探偵」鳥井が、友人、坂木の持ち込んでくる謎を解決するミステリーシリーズの最終巻。とうとう連作短編形式は放棄され、長編で締めにかかっています。鳥井が引きこもりになった原因が明らかになり、そこに坂木がどう関わったのかも示され、その「原因」と対決が行われます。さすが、最終巻で、読み応えがありました。

誰から見ても「いい子」の松谷さんという人が、この巻で新しく登場するのですが、彼女を鳥井が嫌いだといいます。私は、松谷さんにそっくりの女の子を知っていて、彼女のその松谷さんとそっくりの「こだわり」に、ものすごく迷惑をかけられ続けた経験があるので、すかっとしました。ほんっと、ああいう子は、嫌いです。

ただ、ラスト。二人の関係に関しては。これは・・・何の解決にもなってないんじゃ・・・と、思うのは、わたしだけ?解決の第一歩にも達してないと思うんですけど・・・。

坂木と一緒じゃなければ、外出できなかった鳥井が、1人で坂木の家まで来た、というのはたしかに進歩かもしれませんが、それは鳥井自身の意思ではなく、坂木に言われたから、しかも・・・ほとんど脅迫されたから。これじゃあ、鳥井、今までと何にも変わってないじゃん。しかもこの間の鳥井の苦悩に関しては描写がなく、読者の想像力にゆだねられていたりするわけで、著者の踏み込みも浅い。

とりあえず、坂木の側に、本気で自分たちの問題を解決しなければならないという意識が芽生えたのが、収穫っていうか、成長っていうか、この本の解決編ってことなんでしょうね。でも、二人の共依存の問題は、鳥井のほうが自立したい、あるいは、自立しなければ、と、自分で思わなければ、解決の第一歩にもならないと思うんですけど。

鳥井、成長しろ!抜群に頭が良くて、人の気持ちもわかるあなたが、本3冊かかって、本質的にまったく成長しなかったというのは、残念です。

ラスト直前までは、かなりいい感じで進んでいたんですよね。ヒューマンドラマとしてもミステリーとしても面白いストーリーの中で、鳥井の心を柔らかくし、鳥井が外に出てくるのを、うまく助けてくれそうな人材も少しずつ揃って。坂木も前作で、自分の問題を自覚して。あとは、鳥井が外に出たいと、自分で思ってくれるのを待つ、という状態になっていたのに。その後もきっと、たくさんの問題が出てくると思うけど、せめてそこまでは、書いて欲しかったのに。

小説の終るポイントが、その手前の「ここ」だという事に、ひきこもりや共依存に関する取材不足と、著者の力量不足を感じます。(ああ、ごめんなさい。生意気なこと言って・・・。もちろん、私がちゃんと読めていない、っていう可能性も多々あります!)まあ、これ以上まじめに描いてしまうと、暗くなりすぎるし、温かくもなくなるし、違う雰囲気の本になってしまうから、しかたなかったのかな。うーん。

BL本、あるいは、ライトノベルとして出ていれば、私もかなりの高評価をしたと思います。でも、大人の読む本としては、もう一息、頑張って欲しかったです。もう一歩、踏み込んで欲しかったです。残念!
| さ行(坂木司) | 23:38 | - | - |
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