CATEGORIES
LINKS
<< ■ 少女七竈と七人の可愛そうな大人 桜庭一樹 | main | ● きみの歌が聞きたい 野中柊 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
■ 青空の卵 坂木司
青空の卵青空の卵
坂木 司

東京創元社 2002-05

再読。出版されてすぐ読んで、続編が出たら読みたいと思っていたにも関わらず・・・続編が2冊も出て、シリーズが完結していることを最近まで知りませんでした。

帯には「ひきこもり探偵」の文字。これは、面白いキャラ設定ですよね。これだけで読んでみようという気にさせられます。まあ、自宅でできるとはいえプログラマーという職を持っていて、坂木という友人だけとはいえ部屋にもいれるし、一緒に食事をし外出もするのですから、彼は「ひきこもり」ではないような気がしますけれど。

この本は、そんな「ひきこもり探偵」鳥井が、友人の坂木司が持ち込んでくる謎を、優れた推理力で解決する、日常の謎系連作ミステリィ短編集です。鳥井が謎を1つ解くたびに、鳥井が接触できる人間(友人)が増えていく。坂木と2人だけっだった鳥井の世界が、ほんの少しずつ広がっていく。そんな本です。優しい人ばかりが出てくる、あったかくていい本って感じです。

でも、続編が出たのであれば、これはこのまま、単なる優しい本では終りませんね。

この本では、鳥井に「ひきこもり」という問題があるという点に、焦点があてられています。料理が得意で、全国の銘菓を取り寄せることを趣味にしていて、どうやら家族というものに憧れているらしい。まだすべてが明らかになってはいないようですが、過去に家族に関わるなんらかのトラウマを抱えているのでしょう。人間を極度に恐れ、外出を恐れ、坂木だけが世界との唯一の窓口。たしかに、鳥井は異常です。

でも、鳥井と坂木は、明らかに共依存関係にあります。二人が共依存関係にあるなら、坂木もまた異常なはずです。外資系の保険会社に勤め、面倒見がよく、一見普通の社会人に見える坂木ですが、鳥井にたいする態度は、単なる友情というには、執着が強すぎるように見えます。このシリーズはおそらく、坂木の異常も明らかになり、二人の共依存関係が正常な友情に改善される物語なのでしょう。鳥井が外の世界に出られるようになるのは、その後のはずです。

共依存で依存度が高いのは、往々にして「一見依存されているように見える側」なんですよね。親子のようなものです。子供が巣立っていくとき、子供は喜びと希望で胸がいっぱいだけれど、親は寂しく感じ、気が抜けて、鬱状態になったりもする。鳥井がどう成長し、坂木がそれをどう受け入れるのか、その過程には絶対に苦しい葛藤があるはずで、そこをどう描いてくれるのか、興味深いです。

っていうか、今のところほとんどライトノベル(しかもBL)であるこの本の著者に、それをちゃんと描けるのか?わたしはそんな意地悪な気持ちで、続編を読もうとしている、悪い読者です(笑)。

・・・とか言って、全然違うストーリー展開になったらどうしうよう(笑)。
| さ行(坂木司) | 00:16 | - | - |
スポンサーサイト
| - | 00:16 | - | - |