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▲ 男は敵、女はもっと敵 山本幸久
男は敵、女はもっと敵男は敵、女はもっと敵
山本 幸久

マガジンハウス 2006-02-23

結局、どっちも敵ってことじゃん、嫌なタイトルだなあ〜、などと思って、なかなか手が出なかった一冊。でも、読んでみたら、登場人物は誰も、「敵」というほど攻撃的でも脅威でもなく、普通の人が、空回りしながらも、一生懸命生きている感じのよく出ている、いい本でした。

中心人物は、離婚して半年の、藍子。美人で仕事もできる彼女を中心に、元夫、元夫の恋人、元不倫相手、元不倫相手の妻、などが交代で主役になり、それぞれの生活と心情が綴られる連作短編集です。

同じエピソードや同じ人物が、視点を変えるとまったく違ったものに見える。ある章ではむかつくキザ男に見えた人が、別の人の視点で描かれた章では、情けないただのダメ男だったり、ある章では自由奔放でかっこよく見えた女性が、別の章では無責任でだらしなく見えたり。小説ならではの面白さを堪能できました。

個人的には、藍子の元不倫相手の空回りっぷりが哀れで・・・。もう本当にどこかにいそうなダメ男なんですよ。だけど、ルックスが良く、仕事もある程度できたのでしょう。自分がダメだということに、いい年になるまでまったく気がつかないで来てしまった、痛いやつです。この小説の中で、けっこう痛い目にあったので、これからは少し、まともな男になってくれるでしょう。息子もいることですしね。

というわけで、藍子はちょっとユニークなキャラクターでしたが、それ以外の人たちは、ごく普通のどこかにいそうな人たちで、山本幸久さんの心情描写はとてもリアルで、上手いなあ!とは、思いました。ただ・・・手法的に目新しくはないので、インパクトはそんなになかったです。

それに、この本、設定の段階で、ストーリーはほとんど終ってしまっているような本なんですよね・・・。物語としての展開らしい展開は、あんまりないんです。だから、エンターテイメント小説として面白いかというと、ちょっと微妙です。

山本幸久さんの小説が、どっちの方向に進んでいくのか、わからなくなりました。エンターテイメント系の王道を走って、いずれは直木賞をとるような方だと思っていたのですが・・・。次作が楽しみなような、恐いような、です。

敵の女
Aクラスの女
本気の女
都合のいい女
昔の女
不適の女
| や行(山本幸久) | 23:37 | - | - |
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