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● 流れる星は生きている 藤原てい
流れる星は生きている流れる星は生きている
藤原 てい

中央公論新社 2002-07

最初に出版されたのが、昭和24年で、私が読んだものは昭和63年出版のハードカバー。上のアマゾンの画像は、2002年発売の中央公論新社版。そのほかにも、文庫になったり、出版社が変わったりして、繰り返し繰り返し出版されている、名作のようです。

敗戦直後の満州から、6歳と4歳の息子、そして、生まれたばかりの赤ん坊を連れて、言葉を失うような苦労の末に、なんとか日本に帰還した女性の、その脱出記です。最初は、ただただ夫を頼りにするだけだった若い女性が、1人でそれを成し遂げたのですから、さすが、母は強し!です。

本の最初に、昭和31年の藤原一家の家族写真がついており、彼らが生きのびることだけはわかっているので、そこだけは安心して読めました。それがなかったら、恐くて最後まで読めなかったかも・・・。

戦争自体は終っているので、「戦争文学」のような物理的な恐さはないんです。でも、彼女たちの置かれた状況は、悲惨です。食料も、水も、薪も、服も、靴も、何もかもが足りない。少ない人数でそれを分け合わなければならない。栄養失調と流行する病気で、弱いものはバタバタと死んでいく。頼りの男たちはシベリアに送られて、廃人にされて戻ってきては結局死んでいく。女性たちは、時に助け合い、時にいがみあいながら、懸命に生き抜こうとします。極限状態に置かれて、本性を表したときの人間の姿、というのが、これでもか、というくらい描かれていて、そういう意味ではとても恐い本でした。

文章がなんとなく洗練されていないと感じられるのは、古い本だという事と、最初にこの本が書かれたときは、プロの作家さんではなかったからでしょうか。でもそのあたりも、ノンフィクションの迫力、のような感じがして、良かったです。

っていうか、もう、そんな冷静に感想を書いている場合じゃない!ってくらいの、迫力の感動本でしたね。私、16ページ目でもう泣いてましたから。そのあとも、もうどこで泣けたかわからないってくらい、泣きっぱなし。

そして、藤原一家は、なんとか全員無事に再会することが出来たけれど、同じような状況の下で、日本に帰れずに満州や朝鮮やシベリヤで亡くなった、たくさんの人たちがいたことを思い出させてくれる本でもありました。それに、生き別れになった、たくさんの日本人の親子がいたし、北と南に分けられて再会できなくなった朝鮮や韓国の人が、この本の裏にはいるんですよね。

これは、とにもかくにも、読んでおくべき本でした。
| は行(その他の作家) | 08:08 | - | - |
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