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■ 盗作 伊藤たかみ
盗作盗作
伊藤 たかみ

河出書房新社 2003-06-13

スランプに陥って何も書けなくなった、作家の辻克己。彼のペンネームは、亡くなった親友のカツミからとられています。彼が新人賞をとり作家になった処女作品も、カツミから送られてきた、詩とも小説とも言えないイメージのフロッピーを、小説に起こしたものでした。

書きたくても書けない苛立ちにまかせて、様々な事を思い出すうち、カツミの真の姿を、カツミの死の真相を、どうしても知りたくなった辻克己は、カツミの恋人であった洋子に連絡をとります。

後書きはストーリーを読み終わってから読んだほうがいい小説です。比較的小さいものではありますが、ネタバレがあります。でも、この後書き、ファン必読です。伊藤たかみさんのファンの方がいらしたら、この本はおさえておきましょう、って感じです。

ミステリーだと思って読み始めたら、だんだん、ミステリーなのかホラーなのか分からなくなってきます。フィクションなのかノンフィクションなのかもわからなくなって、今読んでいる文章が何なのかわからなくなって・・・。ものすごく、独特の雰囲気のある本です。幻惑される、とでも言えばいいのでしょうか。オリジナリティはありましたね。(あーでもちょっと春樹っぽいのかも。春樹をちゃんと、系統立てて読んだことはないので、はっきりとは言えないけど。)

それから、この本は、主人公・辻克己の孤独感や寂寥感が、行間から滲み出ていました。現在進行形で、作家である彼と深く関わっている人物は、ほとんど登場しません。彼は、カツミと洋子とすごした過去にいまだにとらわれており、カツミを失ったこと、それによって、洋子をも失ったことに、まだ慣れることが出来ないでいます。それをわたしが勝手に感じた事が正解なのであれば、なかなかよくできた小説なのではないかなあと、思います。言葉にならない喪失感に満ちた本でした。

ミステリーとして読んでしまうと、謎がポロポロ落ちたままになっているので、気になる。すっきりしない感じです。

さて、この本は、全編に、ビートルズネタが溢れています。ある世代の人にとっては、ビートルズは時代の一部であり、自分の人生の一部でもあるのでしょうね。そういう大きな文化のなにかしらの共有というのが、わたしの世代ではもうないような気がするので、羨ましかったです。美空ひばりとか、ビートルズとか、ね。今は、好きな音楽のジャンルも色々だし、そもそも娯楽の種類自体が多くて、音楽をあまり聞かない人もいるでしょう。わたしの世代なら、子供の頃に見たアニメとかTVゲームあたりで、かろうじて共通の文化があるように思いますが、思春期以降だと厳しいですね。今の子供たちが大人になるころには、どうなんでしょう?きっともっと厳しいですよね。娯楽の多様化には、いい面もあれば、寂しい面もありますね。
| あ行(伊藤たかみ) | 23:06 | - | - |
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