CATEGORIES
LINKS
<< ● SOKKI!-人生には役に立たない特技- 秦建日子 | main | ■ リセット・ボタン 伊藤たかみ >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
■ 銃とチョコレート 乙一
銃とチョコレート銃とチョコレート
乙一

講談社 2006-05-31

久しぶりの、乙一さん。今回は、うちの市の図書館では児童文学の棚にはもちろん、YAコーナーにもおいてもらえず、普通に大人向けの小説の棚に置かれている、「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド」です。でも、この本は、ミステリーランドの他の作品に比べれば、ちゃんと子供向けになっていたような気がします。あくまでも、比較の問題ですが。

ヨーロッパのどこかの国で、貧しい母子が、暮しています。主人公は、チョコレートが大好きな少年、リンツ。亡くなったばかりの父親が、おそらくユダヤ系と思われる移民の血を引いており、リンツはそのせいで差別やいじめを受けています。

このあたりの描写は、とっても乙一さんらしい!ふたたび「死にぞこないの青」って感じです。ちょうどこれを読んだ頃、中東、イスラエルの周辺で、また戦争が起こっていました。ずっと日本に住んでいると「祖国」と言う感覚はもちろん、自分の血統や国籍など、考えずに生きていける。せいぜいオリンピックの時に、ふと気がつけば日本を応援しているな、というくらいです。でも、自分が生まれ育った国で受け入れられず、帰るべき国も持たないという事は、ずいぶんと辛く、寂しく、心細いことなのでしょうね。

でもリンツには、料理の上手な優しい母親と、友人たちがいて、なんとか楽しい毎日を送っています。少年たちの間での一番の話題は、「GODIVA」のカードを残して財宝を奪う、怪盗ゴディバと、彼を追う、名探偵ロイズの活躍です。少年たちはみんな、ロイズに憧れています。

ある日リンツは、父親の形見の聖書の中から、謎の地図を見つけ出し、それが怪盗ゴディバ事件の鍵を握るものである事を確信します。情報提供者に懸賞金が出ることを聞いて、リンツはロイズに手紙を書いたのですが、そうしたらなんと、憧れのロイズが、リンツに会いにやって来てくれたのです・・・。

という、典型的な少年向け児童文学の王道的な作品の始まり。でももちろんそこは、乙一さんですし、ミステリーランドですし、このままただの楽しい冒険譚では終りません。でも、これ以上はいっさいネタバレ出来ない感じ。読んでリンツの冒険に、ワクワク、ハラハラ、ドキドキしましょう。事件の真相と背景と、色んな人の正体にビックリしてください。

ちゃんとした冒険小説でしたが、伏線のばっちりはられた、ちゃんとしたミステリーでもありました。子供が読んでも面白いと思うし、大人が読んでもしっかり読み応えがあります。楽しみました。

個人的には、リンツの母親がたくましくて好きでした。全体的に、挿絵が恐い本なんですけど、母親の絵が一番恐いんですよね。ほとんど妖怪(笑)。でも、最後まで読むと、なんか納得できます。

そして、ラストの2ページが好き。ゴディバについてはなんとなく、予想できた展開ではありましたが、気持ちよく読み終わりました。そしてその気持ちの良いラストシーンのあとに、乙一さんの「あの」あとがきがついている・・・。
| あ行(乙一) | 11:16 | - | - |
スポンサーサイト
| - | 11:16 | - | - |