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▲ 卒業式はマリファナの花束を抱いて 伊藤たかみ
卒業式はマリファナの花束を抱いて卒業式はマリファナの花束を抱いて
伊藤 たかみ

河出書房新社 1997-05

って、別に本当のマリファナのことじゃないんでしょう?と、思って読み始めたら、ストレートにドラッグ中毒の少女の物語だったのでびっくり。芥川賞記念に、伊藤たかみさんの未読本を読んでおこうと思ったら、すでに図書館に残っていたのは閉架のこれ1冊でした。みなさん、すばやい。負けた(笑)

主人公は、半年後には大学を卒業することになっている、22歳のサラ。(本名、サラシナからのあだ名。最初外国人かと思った(笑)。同じ年の、血のつながらない妹、エミリと、一緒に暮しています。エミリは色んな精神病と診断された経験があり、精神科でもらえる薬と交換で、麻薬を手に入れて遊んでいます。マリファナ、LSD、アシッド・・・。擬似恋愛関係に陥っている彼女に引きずられるように、サラもドラッグに手を出します。

なんていうのかな、アングラサブカルチャー文学、っていう感じなのかな。最近の低年齢向け少女漫画や、携帯小説なんかが好きな人は、そこをちょっと卒業したくなったら、手を出してみるといいかも。

ちょっとだけ古いな、最近の本ではないなあ、と、思わされるのは、2人がドラッグに走ったり、擬似近親相関関係にいたる理由というのが、「ただなんとなく」とか「退屈」とかいう曖昧な理由ではなく、ありがちな筋書きではありますが、きちんと描かれていること。複雑な家庭環境と、それによる過去の悲劇によって、エミリが苦しむ様子が描かれている。だから古い人間である私にも、けっこう読みやすかったです。

それに、もともとはサラの同棲相手で、エミリと浮気をして出て行った京介、という男性が絡んで、物語もちゃんと展開します。破滅していくエミリではなく、ひきずられるサラのほうを語り手にしたことで、よけいに読みやすくなっていました。

文章には癖も、素人っぽさもあるし、ドラッグをやっている人の一人称の言葉という事で、そういう意味では読みやすいわけじゃないんだけど・・・。肥大した自己をもてあまして、ひたすら自分の中でグルグルするだけの、青い青春文学小説ではありません。意外なことに、背景も、物語も、山場も、結末も、ちゃんとある小説でした。

きっと、好きな人はものすごく好きなんだろうなあ、この本。私は、刺激重視の本は、1回読めばもう十分っていうタイプなので、「好きな人」ではないけど、それでも、比較的、読める本でしたし、2人に共感できる部分もありました。
| あ行(伊藤たかみ) | 21:47 | - | - |
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