CATEGORIES
LINKS
<< ■ ザ・チーム 井上夢人 | main | ▲ 最後の記憶 綾辻行人 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
▲ 砂漠の薔薇 新堂冬樹
砂漠の薔薇砂漠の薔薇
新堂 冬樹

幻冬舎 2006-01

ネタバレがないとは言い切れない。

主人公は、娘の「お受験」にのめり込む、専業主婦ののぶ子。のぶ子が娘を入れようとしている「聖星学園」は、裕福な本物のセレブの子供たちが通う学校で、情報収集のためそのお受験グループに参加しているのぶ子は、いつも劣等感を感じています。

そのグループにのぶ子を誘ってくれたのは、幼馴染の十和子です。グループの中心人物、子供のときからいつもその場の女王様で、本物の太陽のような人です。のぶ子は子供のころ、自分の母親から、いつも十和子と比べられ叱られていました。今その同じ事を、自分の娘にしています。

「お受験」が原因で、近所の幼児を殺してしまった主婦の事件が実際にありましたよね。あの事件に触発された本なのでしょう。2代にわたる2組の母娘の確執が生む悲劇の物語です。読み応えはあったんだけど、なんとも後味の悪い一冊でした。

新堂さんは、人間の黒い心理を描くのは上手い作家さんです。それは、よーく知ってるし、この本でも、よーくわかりました。でも、母娘の確執と、女性の集団心理を男性が描くのは、本当に難しいんだなと思いました。特に、母娘の確執に関しては、この本では描ききれていない。甘いです。説得力がありません。だから、誰にも同情できず、読後感が悪いです。女性作家(やっぱり桐野夏生さんかな・・・)の誰かに、これをきっちり書いてみて欲しいなあ。

それから、一番読んでいて気分が悪かったのは、のぶ子の夫の言動でした。妻に対しても、娘に対しても、関心も愛情もちゃんと示さず、責任感がなくて、身勝手で、面倒なことからは逃げてばかり。こんなことになっても、きっと反省なんかしてないんだろうなあ。この悲劇をふせげたとしたら、それは、彼しかいないでしょう。もし、夫がのぶ子の心を、少しずつでも救うことができていたら、悲劇はもう少し小さかったかもしれない。起きなかったかもしれない。みんなが悪い人で、でもみんなが可哀想に思える本でしたが、彼に関しては、同情の余地なし、と、思いました。「リアルだな、現実にこういう事多いんじゃないかな」と、一番思えた部分でもありました。やっぱり、新堂さんは、男性作家さんですね。

それから、これはあまり深く考えていない単なる思いつきなんですけど、お受験グループの中心人物を、幼馴染の十和子ではなく、十和子に良く似た別の人、という設定にしたほうが、物語に深みもリアリティも出たと思うんですよねー。そうすると色々細かい変更点も出てくるはずなので、そのバージョンも読んでみたいです。
| さ行(新堂冬樹) | 20:23 | - | - |
スポンサーサイト
| - | 20:23 | - | - |