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■ 銀河のワールドカップ 川端裕人
銀河のワールドカップ銀河のワールドカップ
川端 裕人

集英社 2006-04

面白かったです。元プロ選手であり、少年サッカーの指導経験もあるけれど、問題を起こしてクビになり、いまだに心に傷を抱えている。職探しをしなければならないのだけれど、サッカーへの未練を断ち切れない。そんな花島が、翼、という名のサッカー少年の熱心な勧誘で、再びコーチになるところから、物語は始まります。

ちょっと昔の・・・いや、今もあるのかな、そのまんま少年サッカーマンガでした。なにせ「翼」だもんなあ。確信犯ですよね。急造チームなのに、やたら個人の才能と、運に恵まれていて、どんどん勝ち進んで、彼らなりの頂点を目指すんです。チーム人数が多いスポーツなので、双子やら三つ子が登場するのもお約束。ライバルチームにすました天才肌がいるのもお約束。私には弟がいるので、子供のころ、サッカーマンガはよく読みました。あの興奮が再び・・・!って感じで、実に満足しました。

「彼らなりの頂点」っていうところが、またいいんですよね。登場するサッカー少年たちがみんな、クールというか、ひねくれているというか、個性的というか、素敵。頂点は頂点でも、普通に、地区予選を勝ち抜いていこう、なんていう物語にはなっていません。彼らが目指したのは「銀河のワールドカップ」。それがとってもドリームでファンタジーなんだけどエキサイトしました。

少し、私が昔読んだ少年マンガと違うのは、2人の女子選手が活躍していることです。スピードに自信があるMFのエリカ。最初はダイエットが目的だったけれど、今は、本当にサッカーを愛して、着実に上達していくリベロの玲華。2人にきちんと見せ場があったのが、嬉しかったです。

でもそれだけに、エピローグの彼らの半年後編で、2人については触れられていないのが不満でした。エリカはどこかでサッカーを続けようとしていると思うし、玲華のその後だって知りたい。なでしこジャパンの影響なのか、最近は女子サッカーや、女子のフットサルの人気はすごいですよね。女子サッカーはやっぱりチーム数が少ないし、中学校の部活ではなかなかないので、続けるのが難しい子達が多いんです。それでもサッカーを愛して、遠くの練習場に通っている女の子がいたり、試合にはなかなか出られないのに、男子に混じって練習している女の子がたくさんいる。彼女たちのためにも、エピローグに、エリカと玲華を出して欲しかったです。

それが唯一の不満。あとは文句なしに、面白い本でした。
| か行(その他の作家) | 01:47 | - | - |
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