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■ ブラフマンの埋葬 小川洋子
ブラフマンの埋葬ブラフマンの埋葬
小川 洋子

講談社 2004-04-13

私には、怪我をした動物の面倒を、とても上手にみる友人がいます。治って野生に帰るものもいれば、彼女の家にずっと飼われているものもおり、亡くなる場合ももちろんあります。獣医さんにかかるために高いお金を出して、餌にするために生きた虫を探して、残業も断って・・・よく面倒をみるよなあ、本当に好きなんだなあ、と、いつも感心しています。

しかも彼女はそういった動物に本当によく出くわす。怪我をして落ちた鳥、捨てられて死にかけた子猫、交通事故にあった犬、カメ、アヒル、タヌキ。東京23区からほとんど出ずに暮していて、なんで彼女ばかりがそんなものに出会うのか、本当に謎です。

この本の主人公「私」も、森の中で傷ついた動物を拾い、世話をするようになります。最初は手がかかるだけだったその動物も、ブラフマンと名づけ、共に暮らすうちに、じょじょに、「私」の心を暖め、癒してくれる大切な存在になっていきます。

「ブラフマン」が、実際には何の種類の動物なのか、明記されていないのが上手いなあと思います。実在の動物なのかどうかも不明。「ブラフマン」は「ブラフマン」なのです。

タイトルがもうネタバレだと思うので言ってしまいますが、ラストに「ブラフマン」は亡くなってしまいます。このラストに関しては、賛否両論あるんだろうなあと思います。ペットの扱い方という観点で読めば、人間の身勝手に対する問題提起と読めなくもない。上に書いたような私の友人に読ませたら、気を悪くするかもしれません。

でも、そこに至るまでの、「私」がブラフマンに向ける親のような温かい視線がとても素敵でした。それに、墓碑や石棺というモチーフにも、なぜか癒されてしまう本でした。淡々とした筆致ながら、ラストの「私」の心情を思うとやはり切ないです。こんなストーリーなのにまったく説教臭くなくて、私はこの本が好きです。
| あ行(小川洋子) | 14:37 | - | - |
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