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▲ モザイク 田口ランディ 
モザイクモザイク
田口 ランディ

幻冬舎 2001-04

「移送屋」のミミは、ある時、十四歳の精神病少年の移送を引き受ける。しかし、少年は移送中「渋谷の底が抜ける」という謎のメモを残して逃げてしまった。少年を探して渋谷の駅前を歩くミミは「救世主救済委員会」の存在を知り、アクセスを試みるが…。

田口ランディ作品3作目にしてやっと、田口作品が「新しい」とか、現代を切り取っているとか、そういう評価を受ける理由がわかりました。この本は、現代人なら誰もが、言葉にはできないけれど脳のどこかで感じている恐怖を、小説にしている気がしました。

私たち一般人は、それを小説にすることはもちろん、たいていは意識化することもできず、持ち続けているのでしょう。繊細な一部の人は、悪夢としてそれを見るのかもしれないけれど、目が覚めたら忘れてしまう。でも私たちは無意識に、その恐怖を知っている。だから、田口作品は人気があるんですね。

「コンセント」「アンテナ」「モザイク」の三部作の中では、やはり「コンセント」は斬新で、読者の心を揺さぶる何かが一番あったと思います。「アンテナ」は論外。「モザイク」は、インパクトは弱いんだけど、ストーリーはわかりやすいし、完成度もそこそこ高いと思う。「コンセント」では、刺激的な言葉を使って読者を驚かせただけだったけれど、「モザイク」では、文章を読むうちに、読者の頭の中にその場面が浮かび、それに対して何かを感じずにはいられないようになっている。これが、描写が上手ってことじゃないのかな。

それにしてもこの三部作って、結局、心理学、精神医学、オカルト、哲学、新興宗教、電磁波、そういういった現代っぽく胡散臭いものを、ぜーんぶセックスとつなげてしまった、って、それだけだった気がします。これを、出版当時、小説の新しい形と見る人もいたのかもしれないけれど・・・。私には、インパクト重視の、安易で下品なサブカルチャーにしか見えません。

「アンテナ」と「モザイク」は、田口さんが「コンセント」の中で表現し切れなかった何かを、補完しようとしたんじゃないかなあというところまでは考えたんですけど・・・それ以上の事はよく分からないなあ。個人的にはこのシリーズ、子供っぽい現実逃避にしか見えなくて、あまり好きな世界観じゃなかったので・・・もうどうでもいいかも。

田口ランディさんの作品って、全部こんな感じですか?これは絶対読んでおけ!的な作品って、あります?誰にもオススメされなければ、もうこの方の作品に手を出すことはないと思うのですが・・・(笑)
| た行(その他の作家) | 00:38 | - | - |
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