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★ きみの友だち 重松清
きみの友だちきみの友だち
重松 清

新潮社 2005-10-20

交通事故で足が不自由になったことをきっかけに、「みんな」と「友だち」について考えるようになった少女、恵美ちゃんが主人公。彼女が「みんな」ではない、「友だち」に選んだ相手は、腎臓病で学校も休みがちの由香ちゃん。クラスでは落ちこぼれで、みんなから見下ろされていて、いつも2人だけの閉じた世界にいる、2人の深い友情がじっくり描かれていきます。

並行して描かれるもうひとつの友情は、恵美ちゃんの弟、ブンちゃんとモトくんの物語。勉強でもスポーツでも人気でも抜きん出た2人は、クラスのみんなの憧れの存在です。そんな2人は、誰よりも相手を認め、誰よりもわかりあっている、ライバルであり、親友。恵美ちゃんと由香ちゃんの友情とはまた違うけれど、ここにも強い絆があります。

でも、どちらの友情も・・・・・・まあ、なんて型どおりなの!この2つだけでなく、すべてのエピソードが、型どおりで、オリジナリティが全然ない。少年漫画のような、清々しい「男の友情」と、いかにもな、女子社会の陰険な人間関係。ああ、コテコテのベタベタ。結末も、まったく期待を裏切られることのない予定調和。

・・・にも関わらず、泣けてしまった。うーん、やられた。ひさびさに、★じるし出ちゃった。

わたしに★じるしを出させるまでにツボだったのは、由香ちゃんが自分の病気について打ち明けたシーンを、恵美ちゃんが回想するシーン。この小説は、私の好きなジャンルではないし、けなしどころも、つっこみどころもたくさんあったのに、それらをすべて蹴散らしてしまうほど、このシーンはツボでした。
「中学に入ってからも、一緒にいていい?」
「わたし、途中でいなくなっちゃうかもしれないけど、一緒にいてくれる?」
「思い出がたくさん残って、死んじゃうと、嫌かもしれないけど・・・いい?」

だいじょうぶだよ。どんなに悲しくても大切な思い出になる。三年間で心を鍛えた。死んでしまうかもしれない友達と付き合うというのは、そういうことだ。
ほんとうに悲しいのは、悲しい思い出が残ることじゃないよ。思い出が何も残らないことが、いちばん悲しいんだよ。
だから、わたしは、いま幸せだよ。
「泣ける本ブーム」でさんざん見てきたけど、人が死んだよ→悲しいよね→さあ泣いてください、っていう流れを作るのは、作家さんにとっては比較的簡単なんでしょう。だってこういう小説、大量生産状態だもんね。でも、この本のように、インパクトの強い「死」というものをを描きながら、人が死んだから悲しいというだけの本にはせず、テーマをはっきりと「死」ではないところにしぼっていく本って、なかなかない気がする。やるなあ、重松さん!感心しました。やられました。これだけベタベタな本でも、この本は良かったです!

かなり長編に近い連作短編集。構成もとても上手かったです。
| さ行(重松清) | 12:22 | - | - |
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