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■ 東京バンドワゴン 小路幸也
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東京バンドワゴン
小路 幸也
集英社 2006-04

by G-Tools , 2006/06/03





明治から続く老舗の古書店、そして最近では隣接するカフェも経営する、堀田家という家族の物語。懐かしく、温かく、素敵な本でした。ストーリーとしては、一応日常の謎系ミステリーの味付けがなされていますが、基本的にホームドラマです。

最初にずらーっと人物紹介がされています。かなりの大家族なので、この家族構成をつかむだけでも、けっこう大変でした。頑固親父の勘一を筆頭に、伝説のロックンローラーの父、古本屋を継ぐつもりの息子夫婦、シングルマザーになった娘、女性問題の絶えない愛人の息子、などなど個性豊な面々です。それぞれには重めの設定が色々あったりもするのに、明るく、さっぱりとした人ばかりで、気持ちの良い家族です。

こんな家族の中から、小路さんが語り手として抜擢したのは、勘一の妻で、すでに亡くなっているサチです。彼女の一人称で物語が進むという意外性が、この小説の最大の魅力だと思います。彼女は、まあ幽霊なわけですが、特殊な能力が使えるわけではなく、ただただ家族を見守っているだけの存在。ストーリーは、格別、盛り上がりもなく、主義主張もなく、オチもなくという感じなのですが、長いときを堀田家ですごし、たくさんの思い出を持って亡くなったサチさんの語り口は、温かさと懐かしさが滲み出ていて素敵でした。

苦労してやっと家族構成をつかみましたし、まだまだフューチャーされていない家族もいるので、ぜひぜひ、続編を書いて欲しいです。サチが紺とだけは話せる、という設定も、あんまり生きていませんしね。

最後の1行でやっとわかったのですが、この小説、古き懐かしきホームドラマへのオマージュなんですね。たぶん、私が生まれる前か、生まれたばかりの頃、流行っていたあたりなんじゃないかな。浅田美代子や、天地真理が、アイドルだった時代のドラマのことでなんでしょうね。おそらく、30代の後半から40代の人が読むと、「あの頃」を思い出して、楽しめるのではないでしょうか。

新しくドラマ化っていうのも面白そうですね。吉永小百合は出てくれないでしょうけど。
| さ行(小路幸也) | 15:06 | - | - |
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