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雀 谷村志穂
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谷村 志穂
河出書房新社 2004-10-22

by G-Tools , 2006/05/29

かつてはダンスと言う同じ夢を追った、学生時代からの5人の女友達の物語。みんなそれぞれに、ダメなところのある女たちで、仲間はみんなその部分を知っていて、反感を持ったり、ぶつかったりしながらも、友情は続いていく。友情っていいですよね。学生時代からそれが途切れずに続いているという部分だけは、ちょっと羨ましい気もしました。

でも、この本の中の友情って、共依存っぽくてあまり健全には見えなかったなあ。個人としてはそれぞれに幸せではないからこそ、結びついている5人って感じで・・・。5人それぞれに、テレビドラマみたいな設定と悩みを与えたことで、やたら薄っぺらくみえてしまったし。だから友情小説としてイマイチな仕上がりで、その部分には序盤で期待させられて読み進めたただけに、残念でした。

それに、恋愛小説としては最初から最後までイマイチで・・・。

主人公は、お金持ちの愛人と暮す、雀。雀は、誰とでも寝てしまう。気に入れば、その部屋にいついてしまう。働いたこともなく、その時々の男に小遣いをもらって暮している。

彼女の事を、作者はあとがきで「純粋」だと言っています。確かに、彼女の友達思いなところや、物欲があまりなくて、気前よく人に物を与えるところなどを見ていると、良いところもたくさんあるんだろうとは思います。ブランド物のバッグより、セックスと物語を聞いてもらうことに喜びを覚える部分なども、無邪気で可愛らしく、それを純粋といえなくもないような気もしないではないような・・・うーん。

私は、彼女にまったく共感できません。どっちかというと、嫌いなくらい。「誰とでも寝る女」という段階で、道徳観的にアウトなんですが、そこにもっともな理由や、同情すべき余地が多少あれば、小説の登場人物としては許せる。けれど、彼女にはそれがなく、ただ楽をしているだけなんです。いくら物欲がないからって、生きていくために必要な分すら、働こうとしないなんて、人間としてどうなのよ。そして、さんざん甘やかしてもらったパパが、癌だとわかったときの冷たすぎる仕打ちはなんなのよ。パパの要求を受け入れるかどうかは、もちろん雀の自由だけど、人に優しくないにもほどがあると思います。そして、最終的には、母親になろうというときにまで、まったく現実を見つめることなく、女友達にどっぷり頼って流されて、それを「友達が家族だから」、などと表現する、その甘えた根性はなんなのよ。そして、そういう彼女に棚ボタの幸せを与える、この小説ってなんなのよ。

谷村志穂さん、けっこう好きな作家さんなんですけど、この本は、全体的に残念でした。
| た行(谷村志穂) | 14:56 | - | - |
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