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▲ 愛がいない部屋 石田衣良
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愛がいない部屋
石田 衣良
集英社 2005-12

by G-Tools , 2006/05/20

恋愛短編集もついに三冊目になりました。
「メゾン リベルテ」。自由の家という名のマンションに住む、そう自由ではない人々の暮らしを、これまでより少しだけリアルに書いてみよう。この本はそんな気持ちではじめた連作集です。
それが「スローグッドバイ」「1ポンドの悲しみ」とはまったく別な味わいになる。スイートなホワイトチョコレートから、砂糖をほとんど使用しないビターなブラックチョコレートへ。百八十度の変化です。

あとがきより
今までの2作は確かに甘くて、「男の人ってロマンチストなのね〜」と、思いました。そういう部分は、この短編集ではなくなっていて、赤面することなく読めました。個人的には、前の2作よりはこの短編集のほうが好きです。前2作にはふんだんに入っていた、女性に対する理想と妄想もこの作品ではそんなに気になりませんでした。

でも、こんな風に「同じマンションに住む」というしばりがある人たちを主役に連作集を作るなら、物語のテイストとしては似たようなトーンで揃えるよりは、バラエティに富んでいてくれたほうが好きなので、ちょっと残念。どれも、ハッピーエンドではなく、かといって現時点ですごく不幸ということもなく、でも不安や空虚感が胸に残る、暗い方向に中途半端テイストな作品たちです。だから、1作1作はけっこう好き。でも1冊の本としては、私の印象は薄いかも。

・ホームシアター
この作品は、一番、違和感がありました。いまどきのニートの若い男が、オヤジと語らう?オヤジに人生相談なんかする?オヤジの前で泣く?石田さんは、こういう物分りのいいお父さんになりたいのかなあ。この物語の先が気になります。物分りのいいだけのオヤジは、ニートの息子を救えるのかな?

・空を分ける
良く知らない男性とルームシェアをすることになり、彼に恋心を抱くようになった梨花の物語。「ルームシェアするなら、恋愛対象になるくらい自分のタイプの人か、あるいはまったくその気にならない安全なタイプ。」という言葉には私は不賛成です。お互いに、相手にまったくその気にならない、安全なタイプでなければ、無理!片想いの相手とルームシェアなんて、その段階で絶対に無理!

この短編、こんな終り方で、梨花ちゃんはこの後どうやって暮らしていくんだろう?わたしならそこでは暮していけないけどなあ・・・。

・指の楽園
キャリアウーマンのうららにとって、マッサージ師の渉との時間は、究極のリラックスタイムです。この作品も、上記の「空を分ける」と同様で、こういう微妙なトークをかわした店に、通い続けるなんて、私にはできない・・・。

・魔法の寝室
魔法の壁紙、見てみたい!どうしても想像できないし、興味津々(笑)。それにしてもこのあと、このご夫婦どうなっちゃうんでしょうか。こんなところで終わりですか・・・。

・落ち葉焚き
連れ合いに先立たれたもの同士の、老いらくの恋。「いい年して恥ずかしくないの」などと言い放つ娘には、本当に腹が立つ。こういう娘に限って、年をとった親の面倒を見る覚悟などないのだろう。この話も、嫌なところで終っている。2人の恋にハッピーエンドを求む!

・愛がいない部屋
この物語には、素直に共感できて、応援できた。DVに苦しむ若奥さんが、光を見出していく物語。最後を飾るのにふさわしい、唯一前向きに終った作品でした。でも、もうちょっと、続きを書いて欲しい作品だった。

他に
・いばらの城
・本のある部屋
・夢の中の男
・十七ヶ月

全体的に、ブチっと切られているような終わり方をする作品が多かったですね。すべてを描かないことで、読者にその後を想像させるっていうテクニックは、よく使われるものだし、そういう余韻の残し方は嫌いじゃありません。でも、この短編集では、情緒も余韻もなにもなく、語られるべき言葉や、描かれるべき事がまだあるのに、ブチっと切られている印象。枚数制限でもあったのでしょうか。
| あ行(石田衣良) | 12:27 | - | - |
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