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■ ガール 奥田英朗
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ガール
奥田 英朗
講談社 2006-01-21

by G-Tools , 2006/04/29





30代の働く女性の心境を描いた短編集。作者が男性なのに、女性に対する夢も理想も妄想も入ってなくて、感じが良かったです。女性の本音をちゃんと描いてくれていて、登場人物の「心の中の声」には何度も共感してしまいました。著者が女性に向ける視線が、温かくて、優しくて、感じのいい本でした。

それに、作者が男性であるせいか、このテーマでは“やりすぎ”になりがちなドロドロ感がなくて、爽やかでした。まあ、ドロドロ感を捨てて爽やかにした分、リアルなストーリーにはなってないとは思います。すべての短編が、それなりにハッピーエンドですからね・・・。世の中こんなに甘くないぞ!という感じです。それに、現実の女性は、こんなにプライベートな狭い世界の事ばかり考えているわけじゃないよね。仕事の事だって、世界の事だって、それなりに考えているんだぞ!

でもまあ、女性による同じテーマのリアルなドロドロ本は、供給過剰ってほどたくさん出版されているので、このリアルじゃなさが貴重な気がします。この本のような爽快で、痛快で、元気が出る、癒し系の物語も、たまには欲しいなあ、と、思います。めったに本を読まない女友達にも、オススメしたくなる1冊。

○ ヒロくん

課長職につくことになった聖子の悩み。部下の1人である、年上の男性社員が彼女に反抗します。理由は単に、「女の指示なんて聞けるか」という事。「女房とホステスと部下しか女を知らない男」って、いるよなあ。うんうん。はいて捨てるほどいる。あいつと、あいつと、あいつ、本当に捨てたい(笑)。

自分より下の立場の女としか、っていうか自分を上にたててくれるような女としか、コミュニケーションがとれない。この1点だけをとっても、社会人としても人間としても、致命的な欠陥だと思うんですけど、本人にも社会にも、それが間違っているという認識はないんだよね。むしろ、たててやらない女が生意気である、というのが「社会の常識」。まことに腹だたしいです。

こういう男は、えてして、上下関係にとても執着があるようで、相手が男であっても、序列をつけたがりますよね。同期とは競争心をむき出しにする。上司にはへつらい、部下には威張る。対等な人間関係を結ぶって事を知らないんでしょうね。定年後に、自分に友達がいないことに気がつくタイプ。ああ、かわいそう!

○ マンション

マンションを買おう、と考え始めたことで、今まで見えなかった様々な事に気がつく、ゆかりの物語。ゆかりのファースト・プライオリティーには、ものすごく共感できました。でも、社会でこれを貫くのは本当に難しいよね!それでも、ほかの生き方はできないゆかりは、ものすごくかっこいいけど、ちょっと不器用で、可愛らしい女性だと思います。この本で、1番好きだった主人公です。

□ ガール

男性はずっとスーツを着ていればいいけれど、女性は選ぶ楽しみがある分、職場での服装が難しい。TPOと自分に似合うかどうかということ、それをおさえるだけだって大変なのに。流行に乗りすぎても、遅れても顰蹙をかう。年齢によっては着られない服、というのは暗黙のルールとしてあったりする。書店に行くと、20代向けのファッション誌は、25歳、27歳、28歳、30歳、などなど、実に細かく細分化されていてびっくりします。

こんな格好したいけど、年を考えると痛いかな・・・と、考えちゃうことよくあります。何年か前には確かに似合ったはずの服が、いつの間にか似合わなくなった、なんて経験は、女性なら誰でもあるのではないでしょうか。ファッションにはあまり興味がなく、その方面では「ガール」であったことのない私でも、この物語にはかなり共感できたので、きっとたくさんの女性の共感を呼ぶ作品だろうな、と思いました。

△ ワーキング・マザー

えーと。ワーキング・マザーに対して、会社ってこんなに優しいんでしょうか?伝家の宝刀になるの?孝子、職場に恵まれすぎ!と、思うのは私だけ?

△ ひと回り

12歳年下のかっこいい後輩の指導係を命じられた容子の物語。この話は、ちょっと面白おかしく描きすぎたかなあ、って感じ。いくらなんでも、ここまで妄想する女性はめったにいないんじゃないかな・・・。いたら、あまりに、痛いよ。
| あ行(奥田英朗) | 11:25 | - | - |
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