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▲ いつか愛になるなら 前川麻子
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いつか愛になるなら
前川 麻子
角川書店 2006-03

by G-Tools , 2006/04/13


本屋さんで背表紙のタイトルを見た瞬間に、「絶対ならねえぞ。」と、心の中で即座に思いました。何の根拠もないというのに。で、そういう自分の性格と、言葉づかいが、ひじょうに美しくないな、と、思いました。できることなら、夢と希望に満ち溢れた、清く正しく美しい自分を取り戻したい。そう思って、手にとりました。

主人公の冬子は、「曖昧にしてきた自分を今象らなければ、煙のように流されて行くだけに違いない」、という理由で、美術学校に入学します。しかし、絵に対する情熱も、将来の夢や計画も、やはり曖昧なものなので、友達に流されるようにすぐに退学。美術学校の講師だった、イラストレーター・立川に、誘われるままに、彼の事務所に就職。そこで、やはり流されるままに、たくさんの男性と関係を持ち、長い時間が過ぎていきます。私には、どうにも共感しづらい主人公でした・・・。

やがて冬子は、立川、そして立川の妻・翠と、不思議な関係を作り上げます。あらすじを言ってしまえば、王道の不倫小説、とも言えるのですが、意外と読み応えのある本です。長さの割に主要登場人物が多く、それぞれの心情が複雑で、矛盾していて、想像の必要がたくさんある本でした。色んな読み方が出来る本だとも思います。「衝撃の結末」を、どう捉えるかも、読む人によって違うんでしょうね。

私の感想としては、とにかく、救いのない本だなあ・・・という感想です。悲しすぎる。冬子は、どうしてもっと、夢と希望に満ち溢れた、清く正しく美しい人生を送れなかったのでしょうか?冬子だけでなく、出てくる人がみんな、寂しくて、悲しい人ばかり。そしてそれは、おそらく曖昧なまま生きてしまった事や、流されてはいけない時に流されてしまった事の結果であり、「自業自得」なんだろうな、と思えて、本当にどこにも救いのない物語でした。

立川一家の「その後」が具体的に描かれていない事や、高藤の人生を、「救い」と受け止めることも出来なくはないのかな?冬子が思い続けることは、美しいのかな?このあたりの解釈は、難しいです。

さて、私は、夢と希望に満ち溢れた、清く正しく美しい自分を、取り戻せるのでしょうか?まあ、元々、持っていない分は、取り戻せっこありませんけどね・・・。

そうそう。私はデザイン関係の仕事をしていたことがあるので、立川の事務所の仕事のやり方が古すぎて、かなりの違和感がありました。最後まで読んで、「ああ、そういう事!」と、この違和感に納得できたのは、ちょっと気持ちよかったです。この本を読んで、唯一爽快だったのが、その点。
| ま行(その他の作家) | 12:25 | - | - |
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