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■ にわか大根 近藤史恵
にわか大根 猿若町捕物帳 (猿若町捕物帳)にわか大根 猿若町捕物帳 (猿若町捕物帳)
近藤 史恵

光文社 2006-03-23

猿若町捕物帳シリーズ。3作目はとうとうハードカバーです。シリーズの前の2作は、200ページ程度の、物理的にはとても薄い文庫本でした。今回は、3作収録の中編集になっていて、文庫版3冊分の長さと内容があるので、満足感たっぷりです。ライトでハートウォーミングな時代ミステリィです。

近藤さんの時代小説の特徴は、艶っぽさ・色っぽさだと思います。どの物語でも、男と女の愛憎劇が事件の背景にあります。このシリーズも吉原の花魁、女形の役者、絵師など、一見華やかな世界で生きる人々が、レギュラーとして出てくるシリーズなので、ストーリーとは直接関係ないところでも、しっとりと色気のにじむシリーズです。

あくまでも、にじむ、という程度なところが、また良いんですよね。時代小説の中には、ある程度年のいった男性向けと思われる、不必要なサービスシーンがものすごーく目障りなものがあるのですが、そういう感じではありません。

主役の同心・千蔭が、とことん朴念仁で、その手の色気をまったく解さない微笑ましい人物。前作ではお見合いをしたのですが、その相手はすでに隠居の身である自分の父親に惚れて、結局彼は、いまだに一人身です。朴訥で、温かくて、親切で、頭脳明晰で、行動力があって、という、パーフェクトな正義の味方。だから、どんな事件が起きても、どんなシーンでも、とりあえず安心して読めます。

1つ1つの短編としては、どろどろの愛憎劇を描き、シリーズ全体としては朴念仁の男と、彼の周りの温かい人間関係を描いていく。このあたりの雰囲気作りのバランス感覚がすごいなあ、と、思います。艶っぽいのに卑猥じゃない。陰惨な事件を扱っても温かい。ギリギリのところで、上品にまとまっている本です。

とはいえそろそろ、千蔭にも恋をしていただきたいものですねー。相手はできれば、どうやら千蔭を思っているらしい花魁・梅が枝ではないほうが面白いですね。ライバルが登場した時の、梅が枝の戦いっぷりを見たいので!

・吉原雀

吉原で、3人の遊女が立て続けに亡くなります。病死の診断が下ったので、事件性はないと思われ、祟りではないかと恐れられています。しかし、彼女たちを結ぶ「雀」というキーワードに気がついた千蔭が、この連続死の謎を解きます。

・にわか大根

人気の実力派女形の芝居が、突然下手になり、客席からは「にわか大根」という罵声が飛ぶようになりました。そんなおり、彼の幼い息子が殺されます。事件の悲しい真相は?

・片蔭

人ごみの両国橋で、ある男の財布をすった茂吉は、とりあえずその財布を、近くにあった天水桶に投げ入れておきました。あとからその財布を回収しにいった茂吉は、その天水桶から男の死体を発見してしまいます。真面目で人当たりも良く、人に恨まれるような人物ではなかった、というその男が殺されたのはなぜ?
| か行(近藤史恵) | 11:42 | - | - |
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