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● 図書館戦争 有川浩
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図書館戦争
有川 浩
メディアワークス 2006-02

by G-Tools , 2006/04/05


お父さん、お母さん、お元気ですか。
私は元気です。
念願の図書館に採用されて、私は今──

毎日軍事訓練に励んでいます。
主人公、郁の、こんな手紙ではじまるこの本。

な、なんで図書館で軍事訓練?と思って、一気に、はまりました。

公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる法律として、
「メディア良化法」が成立・施行されている現代が舞台です。
法務省・メディア良化委員会には、検閲権が認められ、
あらゆるメディアの流通を取り締まる権限が与えられています。
日本は事実上、言論統制が行われるようになっているんです。

メディア良化委員会に、唯一対抗できる根拠法を持つのが、図書館です。
図書館には、検閲を退けて資料収集を収集し、市民に供する権利があります。
「良化特務機関」と「図書特殊部隊」の抗争は、市街戦が行われるほどに激化。
死傷者が出ても、超法規的措置がとられ、司法の介入はないのです。

この設定だけで、もう面白かったです。よくまあ、思いつくよねー。
「ありえない」とか「そんな馬鹿な」とか、言い出したらきりがない設定ですけど、
面白かったから、いいんです。
ここまでぶっとんでくれるなら、文句は言いません。
中途半端より、ずっといいです。

それなのに有川さんは、あとがきで、
「塩も楕円もザリガニも出てこないので普通です」
と、言っておられて、笑っちゃいました。全然、普通じゃありません!

それに、「図書館が武装化」っていうのはぶっとんでるけど、
言論統制自体は、日本でも戦時中は露骨に行われていたんだし、
今でも世界では、実際に行われている国がある。
真面目に考えれば、リアルに怖い設定です。
国家がそれをし始めたときに、抵抗する事のできる組織があったら、
それは確かに「正義の味方」。あこがれますよね。

設定と同じくらい良かったのが、キャラクター。
新人図書隊員で、女子では史上初の特殊部隊入りを果たした郁は、
単純で、熱くなりやすく、思い込みが激しく、存在そのものがコメディ。
同期のエリート隊員や、個性的な上官たちも、みんな、超可愛い性格!
個人的には、郁のルームメイト、柴崎が大好きです。

あ、そういえば、上の文章からはあまり想像できないと思いますが、
この本は、ラブコメだったりします。ラブより、コメのほうが強いですけど。
ラブ的には、中盤でほぼ展開が読めてしまうんですけど、それは悪くない感じ。
王道は、はずしちゃいけないよね。
色々と、終ってないんですが、続編が出そうなので楽しみです。

それにこの本は、とっても立派なライトノベルでした。
私は「ライトノベル」という言葉に、
馬鹿にする意味も、下に見る響きも、こめません。
ライトノベル、大好きです。

本当に面白いライトノベルは、誰が読んでも面白い。
わかりやすく、読みやすく、若い人にも受け入れられる小説を書くのは、
専門用語や哲学用語、専門書の引用などを使って、読者を煙に巻き、
自己満足に陥っているとしか思えない、○○小説や、○○文学を書くより、
ずっと、難しいと思ってます。
| あ行(有川浩) | 23:52 | - | - |
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