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▲ 疾走 重松清
4048734857疾走
重松 清
角川書店 2003-08

by G-Tools

犯罪へとひた走る14歳の孤独な魂を描いて読む者を圧倒する現代の黙示録。

帯より
表紙が恐いよ〜(>_<)

物語は、ひたすら重い、ひたすら暗い。たった14歳の主人公の転落人生が、悲惨すぎて読むのが辛い。

でも、家族、いじめ、孤独、虐待、差別、殺人など、色んな事を考えさせられる小説だったし、登場人物と一緒になって悲しかったり、苦しかったり、腹が立ったりして、心を揺さぶられる物語でもありました。ただ、それらを「感動」とか「泣ける」とか、そういう言葉では安易にくくれなくて、心も頭も爆発しそうになる1冊です。読み応えがありました。著者渾身の大作ですね。
「誰か一緒に生きてください。」
この言葉は、とても切なかったです。

「白夜行」東野圭吾と、「永遠の仔」天童荒太を、思い出しました。テーマが似てますよね。この2冊を絶賛している私ですが、この「疾走」への評価は、実は微妙。

「白夜行」「永遠の仔」では、少年期に悲劇を経験した主人公たちは、作中で大人になり、感情がきちんと分化して、自分を表現することが出来るようになっていました。また、彼らはその生き方で、少年期におきた悲劇が及ぼす影響を体現していました。でも、「疾走」のシュウジは14歳〜15歳にすぎず、シュウジの形というものが定まらないままなんですよね。だから、シュウジのキャラクターをつかみづらく、感情移入しにくかったです。そして、その定まらない形のままで物語が終ってしまったというのは、二重の意味で悲劇だな、と思いました。

そして、この本には、「白夜行」や「永遠の仔」にあったような、エンターテイメント性がありません。犯罪小説ではありますが、少年がひたすら悩む、純文学的な作品です。テーマの重さや、ストーリーの辛さを、薄めてくれるものがないんです。だから、最後まで読むのは、かなりの気力がいります。それをおしてまで、読むだけの価値というか、「何か」があるか、と言われると・・・どうにも微妙なんです。

最後まで読んでも、なんだか釈然としない本。構成の荒さは長さでごまかされてしまうし、物語の収束の仕方が、型どおりに感動的なので、感情的には、物語はすとんと終ってしまうのですが、何か消化不良がある気がしてしょうがない。

テーマが絞りきれていない気がします。もちろん、論文じゃないんだから、テーマを1つに絞れ!とかって言いたいわけじゃありません。それに、この小説をどう受け取るか、何を読み取るか、というところで、読者の技量が試されてる、という気もします。

でもやっぱり、作者がこの本を通して書きたかった「何か」には、収集がついていないように見えます。作者がしたかったことは、イメチェンだけじゃないはず。

細かいことを言えば、
聖句の扱い方は、ちょっと軽率でしょう。
エログロシーンは、やりすぎでしょう。
ラストの展開は、ベタすぎるでしょう。

傑作だ、と絶賛する人がいることもわかりつつ、
勇気を持って、個人的評価は、微妙だ!、と、言ってしまいます。
少なくとも、人にすすめることはないと思います。
| さ行(重松清) | 02:46 | - | - |
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