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■ 虹とクロエの物語 星野智幸
4309017436虹とクロエの物語
星野 智幸
河出書房新社 2006-01-06

by G-Tools

周りの子供たちより、ほんの少し早く大人になった少女、虹子と黒衣が主人公。2人は球蹴りを通して、言葉もいらないほどの親密な友情をはぐくみ、他人を排除し見下して、2人だけで完結した学校生活をおくります。その後、それぞれの人生を送るようになって、虹子は周囲の「俗物」に埋没しようとし、黒衣は孤高の道を切り開こうとしますが、40歳を前に2人とも行き詰っています。

周囲の人を見下すような高慢な気持ちと、自分を卑下し否定する卑屈な気持ちの間を行ったり来たり。2人のそういうところは、あまり好きになれなかったのですが、自分の若き日をふりかえると、身に覚えのないこともないです・・・。(身に覚えがあるから好きになれないんだよね。俗に言う「痛い」ってやつです。はい。)

成長し、自分を知り、世界を知り、「そこ」からは卒業しなくてはいけないんだと思います。でも、これがけっこう難しい道のりで、私も本当はまだ「そこ」にいるのかもしれないし、卒業しても時々戻ってしまうのかもしれません。

虹子と黒衣は、「大人」のふりはできるようになったけれど、本当はずっと「そこ」にとどまり続けています。その象徴ともいえるのが、「20年間生まれないままで、親にさえ無視されてきた胎児」と、「血を絶やすために、無人島に幽閉されている吸血鬼の青年」という、ホラーチックな登場人物です。虹子と黒衣の再会と、友情の再生をめぐるストーリーに、わかりやすい孤独を与えられたこの2人の登場人物が、どんな風に絡んでくるのか・・・。その辺が、この小説の面白い部分なので、ネタバレはしないでおきましょう。

虹子のように親になっても、それで「大人」になれるわけじゃない。黒衣のように社会的に成功しても、それで「大人」になれるわけじゃない。「40歳を越えたいまからでも、大人になることはまだできるのか?そのような思いが、この小説の原動力となっている。」という著者の言葉が、帯にあります。人生って難しーのねーって感じで(笑)、とにかく、色んな事を考えさせられる本でした。

時代背景や年齢が2人の主人公に重なると、もっと心に響く本なのだと思います。40歳くらいの人たちの感想を、ぜひ聞いてみたいです。
| は行(その他の作家) | 02:49 | - | - |
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