俺がかわりに殺してやろうか
父親が失踪。全力疾走のはてに少年は血の味を知ったー
帯より
先入観0で読んだので、シリアスな犯罪小説かと思った・・・。全然違ってびっくりした(笑)。あとでよく見たら、薄くて小さい字で、
家族の崩壊と再生をポップに描いた快作誕生!
と、ちゃんと書いてありました。もっと見やすく書いてよ・・・。っていうか、ちゃんと見よう!>自分
リストラされた父親が姿を消した。
14歳 ケイ → 陸上部をやめて新聞配達
17歳 カナ → いい子をやめて深夜までバイト
27歳 リュウ → 急に家長の意識にめざめる
42歳 薫 → すっかり酒びたりになる
73歳 新造 → 認知症が進行してしまう
いったい、この家族、どうなるの?
帯(裏)より
実際は、こういう小説で、まあまあ面白かったです。
家族それぞれの視点で、父親がいなくなった後の家庭を描いた、技ありの作品。同じ事象を、視点を変えることによって、がらりと趣を変えてみせる。小説ならではの素敵な技で、私もこういうのは大好きです。(あんまり量産されると、マネかパクリって感じで嫌になってしまうので、必要性があるときにだけ、使っていただきたいんですけど・・・。)
最初の2章は、重いネタをさらっと書いて、イマドキの青春小説って感じで、普通に良かったです。ありがちな設定、どこかで見たようなストーリー。それでもこれだけ嫌味なく面白いなんて、上手いなあ、と冷静に思っていました。
だけど、27歳のリュウの章が、個人的にはかなり好きで、とても印象的で。ここでこの本は「好き」ってことに決定!
最後の章が認知症のおじいさんの視点ということで、大丈夫か?どうするんだ?と思ったんですけど、全然大丈夫でしたね。大丈夫すぎて・・・拍子抜けしたくらい。物語をあせってたたんだ、という印象がなきにしもあらず。そのせいで少し、物語が薄くなった感じでした。ちょっと惜しかった。
家族それぞれの視点から語られる、いなくなった父親というキャラクターが興味深かったです。かなり個性的で・・・。こういう父親がいると、他の家族は結束して、もっと仲が良くなるような気がするんですが・・・。そうでもなかったみたいですね。