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■ センチメンタル・サバイバル 平安寿子
4838716435センチメンタル・サバイバル
平 安寿子
マガジンハウス 2006-01-19

by G-Tools

「愛はいらない、お金が欲しい」
というインパクト大の言葉ではじまるこの本ですが、別に、金の亡者の物語ではありません。

独身で働き続け48歳になった叔母・龍子。キャリアウーマンの代表です。その家に家事一切を引き受ける条件で、家賃なしで同居することになった、るか、24歳フリーター。夢も理想もとくにない、覇気のない若者の代表です。るかは同居初日に龍子から、「いつまでもあると思うな、愛と職」という言葉をおくられてしまいます。

るかの生活におこる様々な出来事を描いた、コミカルな長編。それぞれの「出来事」自体はとても小さいのですが、それについて行われる、龍子とのディスカッションが楽しいんです。龍子のセリフはどれもこれも極端なのですが、女性なら共感できる、という部分があって笑えます。

たとえば、#4「エッチは禁句」。るかのバイト先の店長(♂)が、「エッチする」という言い方が嫌いだ、と言って、その言葉を使うのを禁止します。「する」と言いなさい、語感に情緒があるから、というわけです。そして、
する、して、させて。サ行三段活用は男のDNAに働きかけるようになっている。エッチという子供っぽい言葉をはずすだけだ。簡単だろう。それだけで、きみは大人になれる。
だなんて言い出します。ここで、読んでいる私は、「はあ?それだけで大人になれるわけないっしょ。何言ってんだか・・・。そしてそこで、情緒とDNAを同時に語る事に、男の中では矛盾がないのね・・・。ん?日本語じゃない世界の人はどうやってサ行三段活用を使うんだっ。」などと思ったわけです。この店長さんはいい人キャラで、全然反感を持ったりはしなかったんだけど、このセリフには微妙な違和感を感じたんです。

そうしたら龍子さんは、帰宅したるかに、きっぱり言ってくれるのです。
男って、ロマンティックに屈折するから困るよね。どう言おうがいいじゃない。そんな風に情緒とか回数とか付加価値にこだわるから、かえってセックス・コンプレックスから解放されないのよ。エッチしようと言われようが、してと迫られようが、あんたのやれることに大差はないでしょうがって言ってやれば?
きっつーい(笑)。でも女性読者は、この「ちょっとうんざり」感はけっこうわかるぞ!って感じるんじゃないかな、と、思います。だからって、普通は龍子さんみたいにきっぱり言えない(言わない・・・)けど、言えないからこそ、部分的に共感!

一方のるかは、個人的に、全面共感キャラでした。考えている事も、周りに言われる事も、私みたい・・・。フリーターだけど、将来を投げてるわけでも、なめてるわけでもない。非恋愛体質なんだけど、恋愛しないわけじゃない。「低反発マットレス女」と言われれば、腹も立つし変わりたいけど、そんなに急には変われない。

龍子さんだけではなくて、バイト仲間で夢を追っている民子ちゃん、専業主婦を通してきて更年期クライシスに陥る母親など、周囲の人との係わり合いの中で少しずつ成長していく、るかの青春ストーリー。人生、仕事、夢、恋愛、などテーマは真面目なのに、さらっと読めて面白かったです。女子向け。
| た行(平安寿子) | 12:11 | - | - |
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