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■ 看守眼 横山秀夫
4104654019看守眼
横山 秀夫
新潮社 2004-01-16

by G-Tools

どの作品も心理描写が鋭くて、ちょっぴり苦い本でした。

好きだったのは、やはり「看守眼」。印象的だったのは、「口癖」。

警察小説だと思って読み始めたら、それは表題作を含めて二編だけでした。 新聞記者ものあり、ライターものあり、家裁ものありの、実にバラエティに富んだ短編集でした。一冊の本として評価すれば、「第三の時効」や「臨場」のほうがすごい、とは思う。比べてしまうと、この本は、ちょっと物足りないような気がする。

でも、舞台や登場人物を同じくした連作短編集では、人物造形などに一冊分ページを使う事が出来るわけで。この本はそういう手を使わない、正統派の短編集で。だからこそ横山さんの「短編の名手」という評価を、再確認できたと思います。本当に上手いんだなあ。

・看守眼
いつか刑事になる日を夢見ながら、留置管理係としてすごした近藤。まもなく定年を迎える彼は、証拠不十分で釈放された容疑者の男を執拗に追います。マスコミをにぎわした「死体なき殺人事件」の真相を見抜いたのは、長年培った「看守の勘」でした。

・自伝
自伝ブームにのって、そのゴーストライターをはじめた只野は、ある一流企業の会長から依頼を受けます。取材を始めた只野に、会長は、自らの殺人について告白し、只野はその殺人が、自分の母親の失踪に関わっている事を確信し始めます。

・口癖
家裁の調停委員であるゆき江は、離婚の調停に訪れた若い妻の顔に、見覚えがあることに気がつきます。それは、昔、自分の娘をいじめ、不登校に追い込んだ少女でした。横山さんって女の人なんじゃ・・・。っていうくらい、ドロドロ系の女性心理を書くのが上手い。この短編は、後味が悪くて好きじゃないけど、横山さんの腕には感服。

・午前五時の侵入者
二編目の警察小説。県警ホームページがクラッカーの進入を受け改ざんされた。ホームページ担当である警務部情報管理課課長補佐・立原は、アクセス履歴を手がかりに、犯人を追います。そして同時に、セキュリティーの不備という「不祥事」を隠すために、この「犯罪」を隠そうとしますが・・・。それにしても横山さんの小説では、警察官がしょっちゅう保身に走りますねー。

・静かな家
この作品は、オチがイマイチ。でも、似たような仕事をしていたことがあるので、ちょっと印象的でした。広告屋でオペレーターをしていたころ、1億円の物件を1000万円で印刷しちゃったんだよねー。数字1つのミスで、人が死ぬような仕事なんて、絶対嫌・・・。

・秘書課の男
小心者の秘書課の男が疑心暗鬼になって右往左往するお話。たいして面白くはない。でも、ときどきハッとさせられる言葉があった。

その立場にならないと、わからない事ってある。「ありがとう」という言葉に、人は、様々な思いを込める。受け取る人の受け取り方で、それは様々な意味を持つ。
| や行(横山秀夫) | 06:18 | - | - |
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