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■ さざなみ 沢村凜
4062132362さざなみ
沢村 凜
講談社 2006-01

by G-Tools

謎の貴人、絹子さんの出す難題に、彼女に雇われた執事が翻弄される「銀杏屋敷」の章。ごく普通のサラリーマンが、なぜか内ポケットからストレスを感じ続ける「奥山史嗣」の章。そして、様々な人々が登場し、日常の「ちょっといい話」が描かれる「ケースA〜G」。

この3つのパートが、交互に描かれます。本筋は「銀杏屋敷」なんだろうなあ、と、わかりつつ、その他の部分はどう関わってくるんだろうか、と、その謎に前半は引っ張られます。正直なところ、前半は平板で、ちょっと退屈でした。でも、中盤で、物語の全貌がわかったあと、がぜん面白くなってきます。謎が解けた後が面白いなんて、珍しい経験でした。

ただインパクトは弱かったなあ。アイデアは面白いし、構成も、最近よく見かけるものとはいえ工夫されてるし、キャラクターもいいんですが、「物語」が弱い。

一番の山場は、おそらく、絹子さんと執事の始めたゲームが、めぐりめぐって執事とその父親の長年の確執に影響してくる、その章だと思うんです。それは確かに、びっくりな偶然なんですが・・・「物語」としては意外性も何にもなくて、ご都合主義にしか見えない。それに「波紋」というからには、もっと大きな円になってくれることを期待してしまったから、とっても個人的なところで物語が山場を迎えた事に、ちょっと不満が残りました。

面白かった。でも、ちょっと、惜しい!というところでしょうか。

著者によるあとがきに、
もしもこの本を読んでくださった方の心に、はっきりととらえきれない波動のような読後感が残ったとしたら、私と絹子さんの喜びとするところである。
と、書いてあります。そういう事であれば、成功しているんじゃないかな、と、思います。読後感を説明するのは、とても難しい本です。読後感の悪さ、というのはまったくないんだけど、とくに良くもないです。波紋とシマウマと世界制服について、難しい事を考えればいいのか、あー面白い小説だった、ですませればいいのか、迷う小説でした。

個人的には「あー面白い小説だった」で、すませていい小説かな、という結論に達しています。その上で、続編が出ないかなあ、という、期待があります。絹子さんと執事で、また何かやらかして欲しいです。
| さ行(沢村凛) | 20:50 | - | - |
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