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● おまかせハウスの人々 菅浩江 
4062131498おまかせハウスの人々
菅 浩江
講談社 2005-11

by G-Tools

「せつなさの名手」とも評されている菅浩江さん。私は大好きで、もっと人気があってもいいと思うのですが、あまり知名度は高くないようです・・・。SFが苦手な方でも、日常の謎系ミステリーなどを読まれる方には、受け入れられる世界ではないかと思うのですが・・・。傾向的には、松尾由美さんに近いな、と、私は思っています。

・純也の事例
さすが、菅浩江、という感じの感動作。期間限定のモニターになって、人間の子供のようにロボットを育てる・・・つまり、ロボットに人間らしさを教える仕事についた夕香。感情が乏しく、表情も殆ど変化しない純也に、夕香は母親として愛情を注ぎ続けます。いずれ、別れが来ることがわかっているので、その愛情がとても切ないです。純也もその名前の通り、純粋で、有香をひたすら信じて、有香から学ぼうとしています。2人の間にいつしか生まれたものは・・・。

実は、子育てに悩む、現在のお母さんの話と、心情的に変わるところはなく、リアルです。

・ナノマシン・ソリチュード
人間の身体の中に入り込み、医療行為を行う、極小の機械が使われるようになりました。そして、自分のために、目に見えないところで、必死で働いてくれるこのナノマシンに、孤独を癒されている人々がいました・・・。

他のストーリーのテーマが「家族」であるのに対し、この作品のテーマは「孤独」かもしれません。この物語の登場人物も、「孤独」に悩む現代人そのもので、新しいテクノロジーをディティールに使っているだけ。キャラがリアルで、かなり痛い物語でした。

・おまかせハウスの人々
家事労働のいっさいを家がやってくれるという、画期的な家を販売する営業マンと、モデルケースになった3件の家に住む人々を描きます。ある家では、家事も買い物も必要のない家に若者が引きこもり、ある家の姑さんは、家事をさぼる嫁を見て苛立ちを募らせます。「おまかせハウス」は近い将来、確実に可能になる技術でしょう。その技術をどう生かすかは、それを使う私たち一人一人の肩にかかっているのですね。

・・・という正統派のメッセージを、私はこの作品から受け取りました。

・麦笛紀行
これは、空気の読めないサラリーマンの悩み。

・フード病
これは、台所問題で対立する、嫁と小姑のバトル。

というわけで、6編の短編全部において、科学の進歩はスパイスにすぎず、日常生活を一生懸命がんばる、ごく普通の人々の心情を、淡々と描いたという感じです。SFファンには、甘い、退屈、と、言われそうな気がしないでもありません。だから、好みが分かれる本だと思います。それから、女性向けだなあとも思います。

私は好きです。オススメです。
| さ行(菅浩江) | 23:56 | - | - |
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