ずいぶん前にブックオフで買って、本棚に入ってはいたんですけど、読んでなかったんですよね、これ。
映画化されたものを見て、それで満足してしまって・・・。それに、いわゆる「文芸」が苦手というか、芥川賞作家さんとは相性が悪いので、敬遠してた部分もあって。
じゃあなんで買ったのか、というと、映画を見に行った記念のつもりだったんです。
さて。あらすじを書くのも、分析するのも、あちこちでされつくしていて、「いまさらでしょ」という本ですね。
だから、自分との相性だけを記録しておきますが、意外なことに、かなり良かったです。
文章も内容も、若さがかゆいところはあるんですけど、読んでいて耐えられないかゆさではなく、もっと読みたいかゆさでした。主人公の、自分の内面の客観的な分析と、思考の自己中心性のバランスが悪くて、痛いなあ、と、思ったんですけど、痛いという事はつまり、私にとってリアル、ということなんですよね。私の若いころもきっとこんな感じだったんだろうし、今でもそういう所が、かなり残ってるから、痛い、って思うんだよね。
つまり、綿矢さんって、私が言うのもなんですし、いまさらですが、上手いんだ・・・。他の作品も読んでみよう。