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▲ えんじ色心中 真梨幸子 
4062132109えんじ色心中
真梨 幸子
講談社 2005-11

by G-Tools

16年前に起きた「西池袋事件」。被害者は受験戦争を潜り抜けて超難関校に合格した中学生。自供した加害者は、その中学生の家庭内暴力に苦しみ、子供の将来を憂えた父親でした。しかし、懲役3年の刑が下った後、父親は突然無罪を訴え始めます。

派遣社員として、ストレスの多い生活に擦り切れる、久保という男の現在の生活が描かれる部分があり、落ちこぼれの少年と帰国子女の少女の触れ合いをノスタルジックに描いた過去の部分があり、そのほかに「西池袋事件」について語られる部分もあり、第1章は、とても複雑な構成になっています。そしてそれに、解決編である第2章がたった30ページほどくっついた構成になっています。

物語の構造がはっきり見えるのはもちろん、真の「事件」と「謎」が表面化するのも、第2章に入ってからです。ほぼ同時に、「西池袋事件」の真相もはっきりします。一応第2章で、すっきりはできるのですが・・・構成を複雑にしすぎたために、かえってあっけなさすぎる幕切れだと感じてしまいました。罪を犯した加害者にも、殺された被害者にも、共感したり同情したりできるほどの長さがありませんでした。

真梨さんは1作目の「孤虫症」では、その描写力で、私に恐怖の鳥肌をたたせてくれたのですが、あの力はどこへ・・・。この本も、おぞましい犯罪を扱った本なのですが、恐さを感じる前に、本は終わってしまいました。

独特の文章は、雰囲気作りに一役かっていて、よかったと思います。構成の複雑さは、よく組み立てたなあ、と、感心はしました。でも、それが、いいほうに作用していると思えませんでした。オーソドックスに「事件」を最初に出しておいたほうが、よかったのではないでしょうか。

真梨さんが、この独特の描き方で、何をしたかったのか、読者に何を感じさせたかったのか、さっぱりわからなかったです。真梨さんの評価は、次作を読むまで保留です。待ってます!
| ま行(真梨幸子) | 19:46 | - | - |
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